モノとインターネットが繋がるIoTを搭載した商品から、さらにそこへAI機能が加わった商品が家電業界の主力商品となりつつある。AI機能が加わることでテレビは私たちの生活に同のようなメリットと楽しさをもたらしてくれるのだろうか。このコラムではAI搭載TVの機能とその機能によってテレビはどのように変わるのかを紹介する。このコラムを読めば、AI搭載機テレビがどのようなものなのか理解できるはずである。
続きを読むAI搭載TVとは
AI搭載TVはAIスピーカーと同じように、話しかけることで音声を察知しその指示に従い動く。ユーザーが見たい番組の情報を引き出したり、リアルタイムにやっている番組を付けたり、既に放送が終わっている番組も表示したり、膨大な情報量の中から番組検索が可能だ。
シャープは4K AQUOS」に新たにAIを搭載した新モデルを2018年夏に発売した。人感センサをAIが備っているAI搭載TVは人が近づくと電源が入ったり、おすすめの番組を提唱したりしてくれる。
またGoogleアシスタントやアマゾン・Alexaとも連携できるテレビが出てきており、他の家電との連携も増えてくるはずである。ほとんどの家電が音声だけで動かすことができるだけでなく、ユーザーの行動を学習して便利な使い方を教えてくれるようになる。
どのようにAIが活用されているのか
AIはユーザーがニュース番組・ドラマ・バラエティー番組などどの分野を見ることが多いのか?見る時間帯は?番組の特集やストーリーなどの好みの傾向は?など、あらゆる情報を収集蓄積しそのデータを分析する。そして利用者の視聴可能な時間帯にやっている好むであろう番組を提案してくれる。予約録画した番組の内容も考慮できる。そしてAI自身がなぜそのコンテンツを選んだのか理由も説明してくれるようになる。
地上波のみならず、ケーブル、BSなど多くのチャンネルに多くの番組が流れる中、自分が見たい番組を見つけることは至難の技だ。見落としてしまうことも多いかもしれない。AIはユーザーの好みを学習すし、膨大な量の情報から番組をピックアップしてくれる。テレビを楽しみ、必要な情報を得る手助けとなってくれるのだ。
またAIを使った視聴率予想が行われている。電通の開発した「SHAREST_RT」(シェアレスト・アールティー)はこれまでの視聴率データから放送1週間前の番組の視聴率を予想できるという。5000項目もの変数を使って予想をしており、すでに人間を上回るレベルに達している。
そのため広告効果を最大化できることはもちろんのこと、これまで人がCM予想に基づいて行っていた広告枠への割り付けをAIが行うことで、人の負担軽減にもなり、業務の効率化にも結び付くと言われている。
AI搭載でテレビはどのように変わるのか
テレビ機能の発達によって録画番組はCMカットを使って番組を遮るCMを見ない人が増えたため、広告を出す意味が以前ほどの力を発揮しなくなっている。広告がユーザーの目に触れる回数が少なくなりその広告費を出す意味があるのか企業に考え直さなければならなくなった。
しかし、同時にAI機能によってユーザーの好みの番組や番組内容を分析し把握できるようになったことは、何に興味があるのかコアなところを知っていけるようになることでもある。ユーザーが何を求めてその番組を見ているのか、どうなりたいのか何が欲しいのか、どこへいきたいのか、潜在的欲求を察知できれば、視聴者に適した広告を展開することが可能だ。
視聴者にとっても、自分の好みの商品やサービスの広告ならば邪魔だと飛ばすことはしないだろう。コンテンツとCMを適合していくことができるのだ。広告主にとっても、無差別に広告を撒くより自社の製品に興味のある層にもターゲットを絞り宣伝できるにこしたことはない。潜在的欲求を掴むことで企業にとってもファンを増やす、発掘する機会を得ることになる。
AI機能は視聴者、広告主、互いにウィンウィンの関係が築く最新機能となるかもしれない。さらに前述した「SHAREST_RT」のような視聴率を予想できるAI機能がより正確になれば、視聴率が高いであろう番組にのみ広告を出すということも考えられる。
使う側にとっては次のような変化が予想される。使うほどにユーザーの傾向を把握していくAIによって、私使用にカスタマイズされた、「私のテレビ」が出来上がっていくのだ。これまでのように自分で見たい番組を探すのではなく、AIが選んでくれた番組を見るのが当たり前の世の中になるかもしれない。
テレビのAI技術は番組を作る側にとっても大きな変化をもたらしていく。AIテレビがユーザーはどの場面で笑ったか、泣いたのか、感情の起伏をその表情などから読みとることができるようになれば、そのデータは今後の番組作りや効果的な広告宣伝へ活用できる。ユーザーの根本的欲求を満たす番組を意図的に制作することができるようになるため、AIテレビにはマーケティング分野での高い期待が寄せられているのだ。
青汁で有名なキューサイグループとNTTグループは共同研究によってAIを活用した、テレフォンショッピング番組を制作した。過去6年分の放送した映像とそれに対する入電件数から「お客さまの反応を学習したAI予測もできるモデル」を作り上げた。このAIに機械的に数千通り作った番組の構成案を評価させ、その中で最も入電件数が見込める案にて番組を制作すると従来の作り方で制作した放送よりも、27.6%増の入電数という結果になった。
この事例はAIモデルが別途作られたわけだが、今後はテレビに搭載されたAIが視聴者の反応をリアルタイムで収集分析し、視聴者の見たい番組作りに有効な構成案を出してくれるところまでいくかもしれない。
一方通行の情報発信から視聴者と共に作り上げていくテレビへと変化してくのがAIテレビの時代だ。家電の範疇におさまらず、双方の情報活用によってユーザーの求めるサービスが的確に提供され、私たちの生活はますます心地よいものになっていくだろう。
まとめ
これまでAI搭載テレビの機能と今後どのような変化をもたらすかと説明してきた。未知数の部分もあるが、自分で番組を選ぶのではなく、AIが最適化した番組を見るようになる可能性は高い。今後もどのようにこの分野が発展していくか見守っていくべきだろう。
<参考>
- AI搭載TVから考えるテレビはどのように進化する?(RPA Biz)
https://rpa-biz.com/?p=317 - シャープ、人感センサとAI付きの新「4K AQUOS」–近づくだけでテレビがオン(CNET Japan)
https://japan.cnet.com/article/35120328/ - シャープがAI搭載液晶テレビ 好みを学習(日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXLASHD28H24_Y7A920C1000000/ - 人工知能×IoTでテレビの未来はどう変わる(東洋経済)
https://toyokeizai.net/articles/-/145470 - 人工知能搭載スマートTVで視聴者はどう変わる?(SiTest)
https://sitest.jp/blog/?p=8370 - スマートスピーカーに続いてテレビにも広がる「AIアシスタント」【CES2018】(RBB TODAY)
https://www.rbbtoday.com/article/2018/01/10/157293.html - 電通、ディープラーニングを用いたテレビ視聴率予測システム「SHAREST(β版)」を開発(電通ホームページ)
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2017/0616-009318.html - 人工知能がテレビ視聴率を未来予想 ── 人工知能、期待される「3つのビジネス分野」 / 電通・AI MIRAI 統括、児玉さん(リレーインタビュー)(Ledge.ai)
https://ledge.ai/theai3rd-relay-2nd/ - 電通、AIテレビ視聴率予測システムの新バージョン「SHAREST_RT」をリリース(電通ホームページ)
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2018/1026-009630.html
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