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在庫管理もAIが行う?3つの事例から見るAIを使った在庫管理とは

AIはさまざま分野で導入されてきているが、今回は在庫管理においてAIがどのように使われているか、実際に使われている事例を踏まえて紹介する。

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在庫管理をするのはこれまで人の仕事だった。そのため、在庫を数え間違えたり、今どれくらいの在庫があるのか分かっていなかったりということも少なくない。また正確に発注ができないため、在庫をかなり抱えてしまうということも多い。そうした在庫管理を自動化できればというのは在庫管理をしている業者の希望でもあった。それが実現できるAIを使ったサービスが登場している。

このコラムではAIを使った在庫管理を行うことができる事例を3つ紹介する。このコラムを読むことでAIを使った在庫管理がどのようなものか、また、実際に導入することで何が変わるのか理解できるはずである。

AI(人工知能)-在庫管理

在庫管理とAIの相性は良い理由とは

そもそもなぜAIに在庫管理をさせるのかと疑問に思う人もいるだろう。実際にAIを在庫管理に活用することでどのようなメリットがあるのだろうか。

まずAIによる需要と供給の予想が人間よりも正確であるというのがあげられる。例えばコンビニで弁当を発注する際に、これまでは当日の天気や近くのイベント、さらには昨年のデータを考えて、いくつ発注するか考えて注文していた。こうした発注の仕方は時として予想を外すことがあり、弁当が多すぎで余ってしまったり、逆に少なすぎて売り切れになってしまったりすることがある。データはすでに揃っているのだから、その部分を店員の勘ではなく、AIを使うことでより正確に予想して発注することが可能になる。後述するが、実際にAIを使うことで大幅に在庫を減らすことに成功しているという。

また、倉庫に在庫がどれだけ残っているか、AIで管理するという方法も取られている。これまでは人間がひとつずつ管理し、エクセルなどに数を転記していた。人間が行うことであるため、数え間違いや転記ミスも多い。結果として在庫がどれだけあるのか正確に把握できていないところも多いのである。そこでAIを使えば、自動で在庫を管理することが可能になる。こうした作業はAIを使った方がより正確に効率的に行うことができるのだ。

現在、人材不足もあり、なかなか人材を確保できないで苦しんでいる業者も多いため、こうしたAIを使った在庫管理はますます進んでいくと考えられており、実際に導入され始めている。

三菱総合研究所

三菱総合研究所はシンクタンク・コンサルティング業務を行っており、1970年に三菱創業100周年記念事業として設立された。近年はICTソリューションを提供している三菱総研DCSとともにさまざまな課題を解決するサービスを行っている。

三菱総合研究所は「匠AI」というAIを開発しており、これまでベテランの「匠」たちの経験や勘に頼っていた部分をAIで置き換えるというサービスを展開している。これは「匠」と呼ばれる人たちが少なくなってきている現代において、その技術を若い人に伝えるのではなくAIで代替するということを意味している。

確かにこうした技術を身につけたいという若者は減ってきており、さらに匠の技術を身につけるためにはかなりの時間がかかる。その部分をAIに置き換えることで業務の効率化が図れるのだ。

「匠AI」には以下の3つの特徴がある。

・これまで蓄積されたデータを使って業務の高度化や効率化を図ることができる。

・匠の「勘」や「経験」をデータ化することで、これまでの業務ルールの見直しを図ることができる。また匠の技術の伝承も可能となる。

・業務運用のサポートを行い、技術レベルの向上も図る。

このようにAI技術を活用することで、業務の改善を行い、結果として在庫を抱え込まない経営が可能となるのである。

セブン&アイ・ホールディングス

セブン&アイ・ホールディングスはセブンイレブンの運営をしている会社だが、コンビニだけでなく、スーパーストア、百貨店、専門店、さらに金融サービスにまで業務を広げている。あのイトーヨーカドーもセブン&アイ・ホールディングスが運営している。コンビニに関しては、セブンイレブンが店舗数第1位である。

このように業務を拡大しているセブン&アイ・ホールディングスではAIを使った在庫管理を進めている。実際に2019年度に全店舗でAIの需要予測に基づく発注システムの導入を計画しており、今後、AIを使った発注及び在庫管理は必須の技術になりつつある。なぜこうしたAIの導入がコンビニ業界で急がれているかというと、多様な消費者のニーズに合った商品の開発や商品の提供を行うのに、人間が行うのでは正確ではないという理由があげられる。前述したように、天候やイベント、さらには立地によって何がどれくらい売れるからは大きく変わってくる。こうした予想を人間が行うとどうしても正確性に欠け、さらに時間もかかる。実際に「今日はたくさんの人が来るだろう」と考えて、弁当などを発注したが、あまり売れずに廃棄になるということもある。これらの分析部分はAIに任せることで、各店舗は在庫を減らすことが可能となり、また、消費者のニーズに合った商品の開発を行うことも可能になるのだ。こうした動きはコンビニ業界だけでなく、小売業全体に広がっていくのは間違いないだろう。さらにAIの顔認証システムを導入することで、セキュリティ面での安全性が向上するだけでなく、発注業務などの時間短縮にもなるという。こうしたシステムを導入し、商品の販売から発注、在庫管理までAIが行うことができれば、将来的には無人のコンビニも実現できると考えられている。実際に海外では無人コンビニが登場しているので、近い将来、日本でも実現される可能性がある。

eBay

eBayはECサイトを運営しており、商品を売りたいという方にその場所を提供するサービスを行っている。特にeBayの特徴は越境ECに力を入れているところであり、海外に商品を販売したいという人には適しているサービスだ。日本に居ながら海外へ商品を販売できるというのは大変魅力的だろう。

このように成長しているeBayは人工知能と機械学習を専門にするExpertmaker買収しており、その技術を使ってお客様の好みに合った商品を提供しようとしている。「Find It On eBay」というサービスが始まっているが、これまで言葉で検索していたものが、画像で検索することが可能になっている。具体的には画像の中の人が履いている靴と同じものを探すなども可能なのだ。こうしたサービスを展開することでお客様のニーズにあったものを取り添えることが可能となり、売上が悪い余計な在庫は減ることになるのだ。こうしたサービスはeBay以外のECサイトでも採用されるのは間違いないだろう。消費者にとっては簡単に欲しい商品を探すことができ、ECサイトの側も消費者の需要に合わせた商品を提供できるのである。

また、Facebookのメッセンジャーを使ったチャットボット「eBay ShopBot」も提供している。これは友達と話している感覚で商品を探すことができるのが特徴だ。確かにお店に行けば店員と話しながら購入する商品を決めるということがあるので、それをAIが代用して商品を購入するというやり方は需要が多いだろう。このようなやり取りで得られたデータは在庫管理にも反映されるため、在庫を多く抱える必要がなくなるのである。

このようなAIの導入はeBay以外でも導入されるのが確実であり、より使いやすいAIを導入したところが生き残っていく時代が来ているのかもしれない。

AI(人工知能)-在庫管理

まとめ

これまでAIを使った在庫管理の事例を3つ紹介した。AIの活用は需要予測と合わせて使われており、ただ在庫を管理するだけでなく、売上をアップする手段としても有効である。AIの在庫管理への活用は今後、ますます盛んになると思うが、AIだからすぐに導入するのではなく、AIは何ができるのか、また、どのようなメリットがあるのかをしっかりと理解する必要がある。在庫管理でAIを活用と考えている方はぜひ、それぞれのメリットを踏まえて導入してほしい。


<参考>

  1. AIで在庫管理!人工知能で仕入れ漏れ、仕入れ過多に対応した事例や製品を解説します
    https://orange-operation.jp/posrejihikaku/pos/14962.html
  2. AI×ブロックチェーンで在庫管理で変わる!? 物流クライシスを救うソリューションとは
    https://dxleaders.com/solution/720
  3. 売上予測と在庫管理にAI援用…販売数予測の誤差1~2個という成果も
    http://www.laboratory.ai/trend/226
  4. AI技術を活用した製造プロセス・在庫適正化などのデータ解析サービス
    https://www.mri.co.jp/service/201708_023217.html
  5. eBay、人工知能と機械学習を専門にするExpertmaker買収で合意
    https://japan.cnet.com/article/35082178/
  6. 情報管理のセキュリティ強化を目的に、セブン‐イレブンの店舗管理端末に NEC の顔認証技術を採用~今秋よりテスト運用を実施~
    http://www.sej.co.jp/dbps_data/_material_/_files/000/000/019/782/170530kaoninsyo.pdf
  7. セブン&アイ・ホールディングス
    http://www.7andi.com/
  8. eBay
    https://www.ebay.co.jp/
  9. 米eBay、AI活用したチャットボットのベータ版公開~Facebookメッセンジャーで商品レコメンド
    http://news.livedoor.com/article/detail/12176470/
  10. 株式会社三菱総合研究所
    https://www.mri.co.jp/index.html
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