[製造業にAI導入は必須!]日本企業における活用事例3選!

日本の少子高齢化はますます進行するので、労働者がますます減る。AI工場やAI製造は、労働力不足を補う切り札になる、そこでリヂストン、富士通、ファナックの3つの企業のAI活用事例を見てみよう。

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AI.(人工知能)はもはや未来の技術ではない。AIはすでに、チェスや将棋、囲碁でトッププロを打ち破るという、信じがたい頭脳を手に入れている。一方でITの専門家の中には、AIの暴走を危惧する人もいて、警鐘を鳴らしている。

AIを夢の技術とらえるか、人類のパンドラボックスと考えるかは大いに議論が必要なところで あるが、「いまそこにある技術」として製造業での活用が期待されている。

AIは製造業において、産業革命やネット社会、IT化と並ぶインパクトを起こしうるのだろうか。日本のGDPの2割を占める製造業がAIによって生産性を向上させたら、国内経済に大きなインパクトを与えるに違いない。ブリヂストン、富士通、ファナックの3つの企業のAI活用事例を紹介する。

AI(人工知能)と製造業

AIでタイヤをつくるブリヂストン

自動車のタイヤは、ゴムをドーナツ形に「成型」してつくる。成型とは、型にはめてつくる工程をいう。

見た目はとてもシンプルだが、現代のタイヤはとても複雑な機能を持っている。タイヤの内側に充填する高圧の空気は決して漏らしてはならないし、時速200キロでアスファルトに擦られても簡単に摩耗してはならない。さらに摩擦係数を減らして回転効率を上げ、燃費に貢献しなければならないのに、雨や雪が降ってもスリップしてはいけない。

よってタイヤづくりは、ゴムをドーナツ形にすること「以外のこと」のほうが難しい。

ゴムを加工するには人の手と目が欠かせなかった

世界のタイヤメーカーであるブリヂストンの彦根工場(滋賀県彦根市)で2017年1月、AIを搭載した最新鋭のタイヤ成型設備「EXAMATION(エクサメーション)」が報道陣に公開された。

タイヤの原材料であるゴムは、気温が高くなると伸びやすくなり、低くなると縮む。さらにタイヤは、回転する器具にゴムを巻き付けながら圧力を加えてつくるので、回転数や圧力の力加減を調整しなければならない。従来の機械ではその調整を人の手と目で行うしかなく、さすがのブリヂストンでも、このタイヤ成型の工程が工場全体のボトルネックになっていた。

AIがもたらした3つのタイヤ製造革命

エクサメーションは数百のセンサーを使って成型中のゴム(タイヤ)の情報を集め、その無数の情報をAIが即座に計算して最適な回転数と圧力を調整する。人の手と目を使わない分、エクサメーションの生産性は従来の成型設備より2倍に向上し、人手は3分の1に減ったという。

タイヤは完全な円である「真円(しんえん)」に近いほど高性能とされるが、エクサメーションでは真円度も向上した。

つまり工場のAI化により、ブリヂストンは、

・生産性の向上

・人件費の抑制

・高品質製品の製造

の3つを手に入れたわけである。

AIものづくりを支援する富士通

富士通は2016年に「ものづくり統合支援ソリューション」というサービスを開始した。その具体的な内容は、富士通が持つAI技術を、顧客メーカーの設計と生産の現場に導入するコンサルティング業務である。

要するに富士通が、工場の自動化を検討している顧客メーカーに対し、AIによるものづくりを提供するのである。

AIによるものづくりを実現するには、現場を一から作り直すぐらいのフルモデルチェンジが必要になる。そのフルモデルチェンジのことを、「新たに体系化したAIフレームワークの活用」と呼ぶ。

AIフレームワークとは機械学習

富士通が提供するAIフレームワークのメニューは次の通り。

・業務プロセスごとの学習データベースの構築

・継続的な学習によるAIの高精度化

・収集するデータの選別

・予測精度向上を目指したデータチューニング

AI導入時の課題は「学習」と「データ収集」である。AI化されていない生産機械は、エンジニアが最適なプログラムを組み、生産機械がそのプログラム通りに稼働したら「ひとまず成功」となる。もちろん「ひとまず成功」ぐらいでは、その生産機械でつくった製品は売り物にならないので、現場で微調整を繰り返し精度を出していく。

しかしAI搭載の生産機械を導入すれば、人がやることはAI生産機械にデータを与えるだけである。データ量が多ければ多いほどAI生産機械は賢くなり、精度を上げていく。AI生産機械は膨大のデータの中からパターンや規則性を自ら見つけ出すのである。この過程を「AIが機械学習している」という。

プリント基板の設計で20%の効率化

コンピューターや電子機器の性能を左右する部品の1つにプリント基板があるが、富士通はプリント基板の設計工程を、AIフレームワークを導入することで20%短縮させることに成功した。

新製品の部品数やプリント基板のサイズを入力するだけで、AIが必要なプリント基板の層数をはじき出すのである。プリント基板は層数が増えるほど高性能になるが、コストも上がる。そこでプリント基板メーカーとしては必要最小限の層数の製品をつくろうとするわけだが、様々な条件を加味しなければならないので最適解を導き出すことは難しかった。

しかしAIは、プリント基板メーカーが持つ膨大なデータから最適な層数を導きだすのである。

AIを搭載したロボット工場を設計するファナック

ファナックは国内有数の生産ロボットメーカーだ。特にアーム型のロボットが有名である。

工場の自動化はすべてのメーカーが取り組む課題だが、自動化のレベルは各社まちまちで、ベルトコンベアで部品を運んでも自動化といえるし、ファナックのロボットが製品を組み立てても自動化といえる。

では、すべての製造工程をロボット化すれば工場の自動化は完成するのだろうか。もちろんそうではない。

形が違うネジでも難なく組み立てることができる

ファナックが考えるロボット工場は、ロボットに組み込まれているソフトウェアが自ら学び生産性を向上させるという姿だ。さらにロボット自体が製造に関する判断を下す。

そのようにAI化された生産ロボットなら、形状が異なる部品を使った組み立ても自動で行えるようになる。いちいちプログラマーがプログラムを書き換える必要がないのである。

さらに生産ロボット同士が連携し、1つの生産ロボットが故障しても隣の生産ロボットがフォローをして生産スピードを落とさないようにすることもできるようになる。

AI企業とコラボしてロボットのAI化を進める

ファナックのロボット工場構想で注目したいのは、複数のAI企業と提携、協業している点だ。2016年にはアメリカのNVIDIA社と提携し、2018年2月には日本のプリファード・ネットワークス社と共同出資会社を設立すると発表した。両社ともAI開発のトップランナーだ。

ファナックのこうした姿勢からは、ロボットの高性能化にはAIが欠かせないことがわかる。

まとめ~少子高齢化による労働力不足を補う切り札になる

AIに仕事を奪われる時代が到来することを心配する人もいるが、AIが将棋のプロ棋士を負かしても将棋の面白さは損なわれていない。

日本の少子高齢化はますます進行するので、労働者がますます減る。AI工場やAI製造は、労働力不足を補う切り札になるだろう。


<参考>

  1. AIがもたらすリスク スカイプ創業者タリン氏に聞く(日本経済新聞)
    https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25457630Z00C18A1000000/
  2. ブリヂストン、IoTとAIでタイヤ成型を自動化 高品質で生産性2倍の新システム(日経デジタルヘルス)
    http://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/mag/15/400480/062000031/?ST=health
  3. ブリヂストン、国内生産でも勝てる「AI工場」(東洋経済)
    http://toyokeizai.net/articles/-/153287
  4. ものづくりに特化したAI活用基盤を開発し、コンサルティングサービスで提供(富士通)
    http://pr.fujitsu.com/jp/news/2016/06/9.html#footnote1
  5. 層数(ユニクラフト)
    https://unicraft-jp.com/pcb/order/word/layers.shtml
  6. プリント基板って何?(エン転職)
    https://employment.en-japan.com/tenshoku-daijiten/14941/
  7. ファナック、NVIDIAのAIプラットフォームで未来の工場づくりへ(NVIDIA)
    http://www.nvidia.co.jp/object/fanuc-build-factory-future-using-nvidia-ai-platform-20161005-jp.html
  8. ゲーミングから AI コンピューティングへ(NVIDIA)
    http://www.nvidia.co.jp/object/ai-computing-jp.html
  9. 工場ロボ AIで自ら学ぶ プリファード、日立・ファナックと新会社(日本経済新聞)
    https://www.nikkei.com/article/DGKKZO26396230R30C18A1TJ1000/
  10. 第2節 我が国の産業構造を支える製造業(経済産業省)
    http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2015/honbun_html/010102.html