AIが人間の能力を超えると言われているが、実際に人間の能力とAIがどのように違うのか理解できているだろうか。また、実際に現在のAIがどのレベルのものであり、あとどれくらいで人間の能力を超えるのか分からないという人も多いだろう。このコラムではAIと人間の学習方法の共通点、AIと人間の違い、人工知能が人間の能力を超えるまでに何年かかるのかについて説明する。このコラムを読めば、AIと人間の違いだけでなく、今後AIがどのようになっていくのかも分かるはずである。
続きを読むAIと人間の学習方法の共通点
AIと人間は一見すると共通点がないように見えるが、実際は共通する部分もたくさんある。特に学習の仕方については共通点があるのだ。「Deep Learning(ディープラーニング)」という言葉は聞いたことがあると思うが、日本語では深層学習と言われている。この仕組みは人間の脳の神経ネットワークを模倣して作られており、この仕組みを単純化してプログラミングしたものがニューラルネットワークである。ニューラルネットワークの優れているところは情報の重みづけができることであり、その数字が学習によって変化することだ。そうすることで、ルールがない問題でもAIで処理することが可能になった。これまではあらゆるルールを人間がプログラミングしなければならなかったのが、AIが自分で学習することができるようになったのだ。例えば猫の写真を猫と認識するためには細かく条件をプログラミングしなければならなかったのが、猫の写真から特徴を見つけ出して学習し、猫の写真から猫であると判断できるようになるのである。このように人間の脳の仕組みを真似ることで、コンピュータが人間と同じように学習することができるようになったのである。
AIと人間に違いとは
まずAIと人間の違いを構造的に見てみよう。AIは記憶をためるメモリと演算をする箇所が分かれているが、人間は記憶も処理も情報伝達も同時に行われる。その違いは情報を取り出すときに違いがあるという。人間は感情を持っているため、悲しい記憶、嬉しい記憶が記憶にはある。それがラベリングとなって、記憶を取り出しやすくしているのではないかというのだ。単純に言葉を暗記するのは難しいが、昔の楽しい想い出は記憶していることがないだろうか。人間の場合、こうした感情と結びついた記憶は覚えおくことができ、瞬時に情報として取り出すことが可能になっている。これは感情がないAIとの大きな違いである。情報を取り出すスピードと正確さで言えばAIの方が早いが、そもそも情報の取り出し方が違うのである。
次に人間とAIの学習の仕方について考えてみよう。前述したように人間とAIの学習構造は同じだと述べた。しかし、そこで得られることは大きく違う。AIは目的に向かって学習していく。例えばアルファ碁という囲碁の世界チャンピオンにも勝ったAIは、囲碁で勝利することを目的としている。そのため、勝負で感じる緊張感などは感じない。人間の場合、感情があるので、学習過程は同じでもそこに辛いとか嫌だとか感じてしまう。そのため、嫌なことは学習効率が落ちてしまう。また囲碁などの勝負の世界では、緊張感から普段とは違う戦略を選択してしまい、負けることもある。後から振り返れば「この選択をしておけば勝てたのに」というものだ。一方、AIにはそうしたことはない。常に同じ戦略を取ることが可能だ。
このように学習過程は同じでも人間の場合は感情があるので、結果も大きく変わってくるのである。また、同じような学習過程であっても、スピードや情報を保存する能力はAIの圧勝だ。計算をさせたらAIに勝つことはできない。また情報を保存するとなった場合、コンピュータの圧勝である。例えば前述したアルファ碁は3日間で世界のトッププロのレベルになったという。つまりそれだけの学習を短期間で行うことができるのがAIだ。人間ではそうした学習はできない。スピードで人間はAIには勝てないのである。
人工知能が人間を超えるまであと何年かかるのか
人工知能が人間を超えるまでにどれくらいかかるのかというのは専門家の間でも議論が分かれるところだ。あと50年かかるという人もいれば、200年かかるという人もいる。また2045年ぐらいだと具体的な数字を出す人もいる。そもそも人間を超えることはありえないという人たちもいる。確かに情報処理の能力だけで比較すれば、すでに人間の能力を超えていると言えるだろう。前述した囲碁の世界では、すでに人間はAIには勝てない。逆に将棋の世界では、AIの差し手を研究し、自分の指し手に生かすという棋士もいる。その結果、そうした棋士が実力をつけ勝利している。そのため処理スピードや正確性でいえばすでに人間を超えているのだ。
一方、人間のように自分で考えることができるようになるかというと、そこまでは至っていない。AIの場合は人間が目標を設定して、その目標に向かって学習しているため、人間のように学び方を学んでいない。つまり常に新しいことを学ぶ際にはリセットされてしまうのである。人間のように学び方をマスターするには時間がかかるというのが専門家の意見だ。そういう意味ではまだ人間を超えられていないし、あくまでも道具のひとつだという捉え方の方が正しいと言えるだろう。
まとめ
これまでAIと人間の共通点と違いについて述べてきた。AIは決まったルールの下で、早く正確に問題を処理する分野ではすでに人間を超えている。しかし、それは一部の分野であり、自ら目標を設定することもできなければ、学び方を習得できてもいない。こうしたことは思ったよりも難しいようだ。今後、AIが人間を超える分野は増えてくることは間違いないが、どの分野で人間の能力を超えているのかは知識を得ておいた方が良いだろう。
<参考>
- 人工知能は人類を滅ぼすのか AIが人間を超えるために必要な条件とは(GLOBE+)
https://globe.asahi.com/article/11862309 - AIと人間の違いを5分で解説、知って得する人工知能のあれこれ(エーアイジン)
https://aizine.ai/ai-tigai-0518/ - 【AI早わかり】人間の知能とどこが同じでどこが違う?(まなナビ)
https://mananavi.com/%E3%80%90%EF%BD%81%EF%BD%89%E6%97%A9%E3%82%8F%E3%81%8B%E3%82%8A%E3%80%91%E4%BA%BA%E9%96%93%E3%81%AE%E7%9F%A5%E8%83%BD%E3%81%A8%E3%81%A9%E3%81%93%E3%81%8C%E5%90%8C%E3%81%98%E3%81%A7%E3%81%A9%E3%81%93/ - 人工知能と人間の決定的な違いは何か?(BLOGOS)
https://blogos.com/article/211824/ - “人工知能”が人間を超えるまであと何年か(PRESIDENT Online)
https://president.jp/articles/-/23733 - 5分でわかる、Deep Learning(ディープラーニング)とは何か(エーアイジン)
https://aizine.ai/glossary-deeplearning/ - 5分で理解、ニューラルネットワークを簡単解説(エーアイジン)
https://aizine.ai/glossary-neural-network/ - 囲碁AIのすさまじい進化をプロ棋士が解説、人間の棋譜はもう不要?(ダイヤモンドオンライン)
https://diamond.jp/articles/-/154418 - AIは心を持つのか。持つとすればその理由は……(まなナビ)
https://mananavi.com/ai%E3%81%AF%E5%BF%83%E3%82%92%E6%8C%81%E3%81%A4%E3%81%AE%E3%81%8B%E3%80%82%E6%8C%81%E3%81%A4%E3%81%A8%E3%81%99%E3%82%8C%E3%81%B0%E3%81%9D%E3%81%AE%E7%90%86%E7%94%B1%E3%81%AF/
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