「AI(人工知能)」と聞いてどのようなイメージを持つだろうか。
「高度ハイテク技術」だろうか。
「鉄腕アトムとドラえもん」だろうか。
「なんでも解決できるスーパー能力」だろうか。
それとも「コンピュータによる人の支配」だろうか。
AIに関するニュースは連日数多く流れているが、一般の人にはいまひとつなじみがないのも事実だ。そこで、誰でも簡単にAI体験ができるWebサービスを7つ紹介する。なかには性格診断までしてくれるものもある。
なかにはビジネスユースのサービスもあるが、「へえ、こんなこともできるんだ」という感覚で楽しんでいただきたい。
7つAI・Webサービスの特徴
7つのAI・Webサービスの概要とURLは次のとおりである。ひとつずつ紹介していく。
Amper Music
Amper Musicは音楽をつくることができるAI・Webサービスである。
サイトでユーザー登録すれば誰でも無料で使うことができる。しかも著作権フリーなのでAmper Musicでつくった曲は自由にネット上で公開できる。
使い方は簡単で、音楽のジャンルと曲の長さを指定するだけ。また完成した音楽はテンポを変えたり新たに別の楽器を加えたりすることもできる。こうした編集機能はユーチューバーに歓迎されるだろう。
#AGENT_TRAVIS
#AGENT_TRAVISはユーザーが好みそうな映画をおすすめしてくれるAI・Webサービスである。
映画をみたいと思っても、どの映画がいまの気分に合っているのかわからないときがあるだろう。そのようなとき#AGENT_TRAVISを使う。
#AGENT_TRAVISのサイトに自分のツイッターのアカウントを入力すると、ツイッターのコメントからその人の好みそうな映画10品をAIが選定し、題名を表示してくれる。
例えば、過激なツイートが多い人にはアクション映画をリコメンドしたり、温和な内容の投稿が多い人には恋愛系や癒し系の映画を紹介したりする。
自分の好みの映画を探すだけでなく、有名人のツイッター・アカウントを#AGENT_TRAVISに入力すれば、その有名人が「好むであろう」映画がわかる。
ただ当然のことながら、本当にその有名人がそれらの映画を好むかどうかはわからない。あくまでAIの「感性」が選んだ作品である。
clarke.ai
clarke.aiは会議の議事録をつくるAI・Webサービスである。
会議の議事録を作成する作業は煩雑で面倒だ。議事録をつくるには、全員の発言内容をメモに取っていく必要がある。もしくは会議の様子を録音し、後でそれを再生しながら執筆してかなければならない。
clarke.aiは発言を文字化するだけではない。声の質によって誰が発言したのかまで判別し、さらに発言の内容の重要度まで判定する。
さらに、例えば社長が部長にある仕事をいつまでに完成させるよう指示したら、それをタスクとして表記することもできる。
ただ現在のところ英語によるサービスのみで、日本語サービスの予定はアナウンスされていない。
PaintsChainer
PaintsChainerは絵に色を塗ってくれるAI・Webサービスである。IDの取得や登録は必要ない。もちろん無料。
使い方はいたってシンプルで、例えばマイクロソフトオフィスの「ペイント」を使って黒い線だけで猫の絵を描き、JPGで保存する。次にPaintsChainerサイトのトップページにある「画像をアップロード」をクリックして、保存した画像データ(JPGデータ)を選択して取り込む。
すると画面が切り替わり、選択した画像データが現れて、すぐに着色が始まる。
着色パターンは3つあり、「たんぽぽ」パターンを選ぶと水墨画で描いたような濃淡がぼやけた色がつく。「さつき」パターンは青をベースにした淡い色調になる。「かんな」パターンは黄色やオレンジなどの暖色系に着色される。
編集も可能で、PaintsChainerが作成した色付きの絵に別の任意の色を塗ることもできる。
イラストレーターだけでなく、例えば事務職の人が仕事で簡易な社内向けポスターをつくらなければならないとき、PaintsChainerを使うだけでクオリティがアップするはずだ。
PaintsChainerの実力は折り紙付きで、メディア芸術祭というイベントで、文化庁からエンターテイメント部門優秀賞を受賞している。また、PaintsChainerを使ったイラストコンテストを開催するなど、PRにも力を入れている。
PaintsChainerを開発した株式会社Preferred Networksは東京都千代田区にある会社で、すでにアメリカ進出を果たしている。
メーンの事業は自動運転技術やコネクテッドカー関連のソフト開発で、トヨタ自動車と共同研究を行っている。
また、製造業への支援では、ロボットによる自動工場化や制御技術、物体認識技術、異常検知技術などを開発している。この分野では産業用ロボット大手のファナックや日立製作所とタッグを組んでいる。
さらに、医療用画像の解析やがんの早期診断技術にも携わっている。
PaintsChainerは「AIのすごい企業」が遊び心を持ちながらつくった、「すごくユニークな」AI・Webサービスといえる。
CALNA
CALNAは食生活をサポートするAI・Webサービスだ。コンセプトは「人工知能と築き上げる新しい食生活のかたち」である。
CALNAはスマホアプリで、ユーザーは毎日そのアプリに話しかける必要がある。するとCALNAに搭載されたAIが、ユーザーの趣味嗜好を学習して、最適な食事を提案したり食事に関してアドバイスしたりする。
CALNAのユニークな点は検索が必要ないところだ。
食に関するアプリやサイトは、まずはユーザーが食材やメニューや栄養素などを入力しなければならない。これは案外面倒であるし、気になる食材を発想することは意外に難しい。
その点CALNAは、ユーザーとの日常会話からユーザーの好みを探り、さらにネット情報を活用して最適な食事のアドバイスをする。ユーザーはあたかも管理栄養士に食生活の相談にのってもらうようなものだ。
CALNAを使えば、例えば外食やコンビニ弁当などに頼り切っている人は、無理なくダイエットできる食事を提案してもらえる。そのメニュー数は700万種に及ぶ。
またCALNAにはレシピ集が登録されているので、メニューづくりに迷うことがない。しかも食材や調味料や分量なども載っているので、スマホを持ってスーパーに行けばCALNAをみながら買い物ができる。家に帰れば、CALNAをみながら調理することができる。
CALNAはワイドショー番組のサンデージャポンや日経産業新聞、雑誌LARMEなどにも取り上げられるなど、注目のアプリとなっている。
Tegaki.ai
Tegaki.aiは手書き書類をデータ化できるAI・Webサービスである。
使い方は、手書きをした書類をスキャンしてアプリに取り込むだけ。Tegaki.aiには、ディープラーニングを活用した独自のアルゴリズムが搭載されていて、ひらがな、カタカナ、漢字、数字、アルファベット、記号を識別することができる。
Tegaki.aiの認識率(手書き文字を正しくデータ化できる確率)は99.2%にも達する。ユーザーの要望があれば、外国語や業界用語に対応したバージョンを作成してもらえる。
データ化できるので、そのまま「ワード」や「エクセル」に落とし込むことができる。
Tegaki.aiはすでに大手企業から引き合いがあり、野村證券、JT(日本たばこ産業)、凸版印刷、パソナ、みずほ銀行などが採用を決めている。
Personality Insights
Personality Insightsは文章から性格分析をするAI・Webサービスである。開発したのは、IBM。
例えばPersonality Insightsにツイッターに投稿された文章を読み込ませると性格分析をしてくれる。ただ性格分析といってもBtoB(企業向け)ビジネスに強みを持つIBMが開発しているので、性格分析をするといっても「誰にでも好かれる明るい人柄です」といった、エンターテイメント的なものではない。Personality Insightsが想定しているのはやはりビジネスユースである。
例えば企業の人事部がPersonality Insightsを使えば、社員のレポートや報告書などから性格を割り出し、適材適所の人材配置ができる。
または、取引先から提出されたプレゼン資料をPersonality Insightsにかければ、その担当者の性格がわかるのでコミュニケーション戦略を打ち出すことができる。
ある人のブログ記事をPersonality Insightsにかけたところ、次のような結果が出た。
●結果
分析好きなタイプであり、また活発なタイプです。 哲学的なタイプです:新しいアイディアに興味をそそられ、進んで受け入れ、探求することを好みます。 粘り強いタイプです:困難な仕事に取り組み続けることができます。 また、冒険的なタイプです:新しい経験をすることを熱望しています。 発見を意識して意思決定するタイプです。 生活を楽しむことと伝統の両方にあまりこだわりません。単なる個人の楽しみよりも大きな目標を伴う行動を優先します。また人が通った道よりもわが道を行くことを大切にします。 ●下記のような傾向がありそうです 社会貢献のためにボランティア活動をする ノンフィクション作品を読む ドキュメンタリー映画を好む ●下記の傾向は低そうです 商品を購入するときは家族の影響を受ける 商品を購入するときは商品の実用性を重視する 自動車を買うときは安全性を優先する |
この内容をみると、かなり「丸裸」にされてしまうことがわかる。
まとめ~もう手元にある最新技術
AIはもう遠い未来の技術ではない。手を伸ばせば、誰でも手に入れることができる技術だ。ここで紹介した7つのAI・Webサービスは気軽に体験することができる。AIを知る時代はそろそろ終わりに近づいているのかもしれない。今はもうAIを体験する時代であり、AIを使いこなす時代である。
<参考>
- Amper Music
https://www.ampermusic.com/ - #AGENT_TRAVIS
http://data-gardener.com/ - clarke.ai
https://www.thalesgroup.com/en - PaintsChainer
https://paintschainer.preferred.tech/index_ja.html
https://www.preferred-networks.jp/ja/ - CALNA
https://calna.me/ - Tegaki.ai
https://www.tegaki.ai/ - Personality Insights
https://www.ibm.com/watson/jp-ja/developercloud/personality-insights.html
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