昨今の技術革新に関しては目を見張るものがある。その発展についてのスピードはかつてのものとは比べ物にならず、わずか1年でも全く異なる状況に変貌を遂げている。その技術革新のなかで、今現在最も注目を集めるものの1つが「人工知能(AI)」である。
最近ではスマートフォンなどに当たり前のようにAIを活用したアプリなどが搭載されており、とても身近なものとなっているが、このAIはこれまで何回かブームとして社会的な期待や注目を集めたことがあり、現在のそれは第3次人工知能ブームと称されており、このブームの発端となったのが、2006年にイギリスのAI研究者であるジェフリー・ヒントンが考案をした「ディープラーニング」(深層学習)で、現在に至るAI技術の飛躍的な発展に対するブレイクスルーの引き金となった。
このAIにおけるブレイクスルーとIoTやビッグデータなど、ほかの技術革新などが重なり、今やその影響は単なる生活の利便性を向上させるだけに留まらず産業構造や社会構造そのものに変化を与えはじめ「第4次産業革命」を引き起こす結果となっている。
このようにAIは様々な産業の中で、広く活用されており、社会の多くの場面で人々の生活に浸透し始めている。今回は、そのなかで「金融」分野での活用事例について紹介をする。
金融におけるAIの活用事例として、最も期待されているものが「ロボアドバイザー」と呼ばれる「AIによる自動投資サービス」である。このロボアドバイザーによる資産運用とはどのようなものなのか、具体的なサービス事例などともに解説をする。
プロ並みの資産運用サービスを低コストで実現する「ロボアドバイザー」
「ロボアドバイザー」とは、資産運用に関する投資先の判断をAIが自動的に行うというものである。
投資に関する知識や経験が乏しい人でも、投資先の選定や組み替えなどの運用全般をAIが全て自動で行うことで、世界の富裕層や機関投資家と同様の資産運用を行うことができる。これまでも資産運用をプロの専門家に一任するサービス(証券会社などが提供するラップ口座など)などがあったが、手数料などのコストが高く一般的に利用ができるサービスではなかった。だが、ロボアドバイザーは低コストでの利用が可能となった。また、投資金額についても1,000円程度から利用できるものもあり、金融投資や資産運用に対するハードルを低くした。
このロボアドバイザーのサービスを日本国内で提供している代表的な企業のひとつが「お金のデザイン」である。お金のデザインは自社のサービスとして提供をしている「テオ(THEO)」は、いくつかの簡単な質問に答えるだけで、ユーザーに関する資産状況や好み、指向性などを判断し、世界各国の通貨や株式銘柄から自動で投資先を判断し、アドバイスを提供する。ロボアドバイザーから得た情報をもとに投資をすることもできるが、毎月の積立金をもとに自動で投資まで行うこともできる。ちなみに、毎月の積立金額は1万円からと非常に気軽に利用することができる。同じようなロボアドバイザーを活用した投資アドバイスや自動投資サービスを提供している企業としてWealthNaviなどもある。
・お金のデザイン https://www.money-design.com/
・WealthNavi https://www.wealthnavi.com/
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自分専用のファイナンシャルプランナー「ほしいものナビ」
資産投資に関する投資先のアドバイスや自動での投資などを実施する「ロボアドバイザー」よりも、もっと身近な資産運用のサービスを提供しているのが「ソニー銀行」である。
ソニー銀行が提供するサービス「ほしいものナビ」は、自分がほしいものや、やりたいことを実現するために上手にお金を貯めるための「資産形成」に関するアドバイスを提供する、まさに「ファイナンシャルプランナー」のような存在である。
サービス内容としては、人生における目標となるイベント(例えば、結婚や出産など)を選択し、それを実現するために必要な金額やいつまでに実現したいかといった期間を入力していくと、どのような形で貯めるのが理想的かを自動的にシュミレーションする。
そこから提案される貯金プランに従って、目標に向かった資産形成を実施するものである。
ここで提案される資産形成に関するアドバイスは、ソニー銀行での円預金や外貨預金、投資信託となる。ユーザーにとっては、これまで時間や手間をとってファイナンシャルプランナーなどに相談をしていた内容を、気軽にオンラインで実施ができるというメリットがある。また、ソニー銀行としてもユーザー獲得に対するハードルを下げると同時に、ファイナンシャルプランナーに対する人件費などを大幅に抑制することが期待できる。
・ほしいものナビ http://moneykit.net/visitor/fund/hnavi/
AIがもたらす潜在的ユーザーの獲得チャンス
今回は今、金融の世界でも注目がされており、活用事例が急増している「人工知能(AI)」の具体的な活用事例などを紹介してきた。資産運用や株式投資などについては、金融商品の複雑さなどから専門的な知識が必要となる点や情報入手などに関するコストなどが高額となることから新たな投資家を生み出し。ユーザーを拡大していくということに大きな課題があった。
だが、近年の「FinTech(フィンテック)」と呼ばれる金融に関するIT技術の進化や人工知能(AI)の活用などにより、資産運用に関するアドバイスや投資に必要な情報入手などに関するコストが大幅に削減することが可能なり、また投資そのものに関するコストが削減されることで、より低い金額からの投資が可能となってきている。このように人工知能(AI)に代表されるような革新的な技術を導入することで、少子高齢社会となった日本における貴重なユーザー拡大のチャンスを、より大きなものとすることが可能となるのである。
人工知能(AI)の発展に関しては、現在日本で大きな問題とされている「労働力不足」を補うものとして期待されている反面、ホワイトカラーと呼ばれる「事務関係」の職業がAIに奪われるとの不安についても同様に聞こえてくる。だが、これまで述べてきた金融の世界のようにAIの活用が新しいサービスやユーザーが生み出していくことが多く存在するのも事実である。AIを積極的に活用することで、未だ顕在化されていない新しいユーザーの獲得を目指しては如何だろうか。
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<参考>
- お金のデザイン (お金のデザイン)
https://www.money-design.com/
- WealthNavi (ウェルスナビ)
https://www.wealthnavi.com/ - ほしいものナビ(ソニー銀行)
http://moneykit.net/visitor/fund/hnavi/
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