AIが様々な業界に進出し、効率化を手助けしている昨今、当然デザインの業界にも進出してきている。
今後20 年間でおよそ半分の仕事が AI によって入れ替わるという話のなか、
ただ作るだけという製造業に近いイラスト、デザインワークは減少していくことになるだろう。
こうした光景は、産業革命時にイギリスで機械化が広まり、手工業者が「仕事が奪われてしまう」という理由から起こした機械排斥運動(ラダイト運動)を彷彿とさせる。しかし、AI のような技術を活用した機械化・自動化を対立関係だけで語るのでは200年前に起きたことを繰り返してしまう。「協働」できるのではないか、つまり、AI がデザインをしてくれるからデザイナーが必要でなくなるというより、AI によってさらにデザインの可能性が広がるのではないか、と考えることこそ、デザイナーには必要なのではないだろうか。
すでにプロフェッショナルツールのAdobeは「Adobe Sensei」として、AIがバックグラウンドでサポートするエンジンを実装している。何をやっているかは理解できなくても、PhotoshopのAI機能を使えば、被写体を自動で選択してくれたり、風景から電線などを違和感なく取り除いてくれたり、ユーザーは意識せずにその効果を体験することができる。
今後グラフィックデザイナーやWEBデザイナーなど実務に近いデザイナーはどうやってAIと共存するのか、利用するのかうまく使っていくことでその価値を再定義することが必要になるだろう。
そこで、まだ実務レベルで使用できるものは多くないものの、デザイナーも使える代表的なAIサービスをいくつか紹介する。
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AIでロゴをデザイン
Tailor Brands
https://www.tailorbrands.com
ニューヨークに拠点を構えるスタートアップのサービス。
社名と簡単な業務内容、ロゴの雰囲気はどんなものがいいか、イメージに合うロゴはどれかといった簡単な質問に答えていくだけで最適なロゴをAIで制作してくれるロゴジェネレーターのサービス。名刺やブランドブック、SNSのカバー画像、21種類のロゴサイズまで、多岐にわたるロゴ展開を提案してくれる。ロゴのダウンロードは種類などプランにより料金が掛かるが、ロゴの作成は無料で体験できる。
Logojoy
https://logojoy.com
こちらもAIデザイナーがロゴデザインをしてくれるサービス。
好みのタイプのロゴや色の選択など、いくつかの簡単なステップで、AIによって自動的にロゴが生成される。
AIによって作成された複数のロゴの中から好きなロゴを選んでカスタマイズすれば、より希望に近いロゴができあがる。気に入ったロゴがない場合は、気にいるものがみつかるまで無限に他のロゴを生成することができる。ロゴデザインの提案は無料だが、使用を決めたデザインにのみ、コースに応じて20~165ドルで使用権を買う形式。ちなみに、利用者の多くは中小企業で、仮にこのサービスが普及しても、本来なら自分でデザインするかフリー素材を用いていた層がターゲットとなっているため、既存のデザイナーから仕事を奪うことはほぼないとCEOは考えているそう。
様々なブランディング素材を作ってくれるジェネレーターツール
BrandMark
https://brandmark.io
いくつかのキーワードを入力するだけで、ロゴ画像・ブランディングカラー・ウェブサイトのレイアウトまで生成される。単なるジェネレーターではなく、ブランドイメージに沿ったロゴマーク、ブランドイメージに合うようなカラーデザイン、それらが仮にサイトや製品になった場合のイメージを総合的に提案してくれる。ダウンロードは有料だが、生成されたデザインアイデアはブラウザ上で直接編集でき、EPS、PDF、PNG、SVGなどの形式に変換することもできる。
好みの色から様々な色の組み合わせを生成してくれるツール
khroma
http://khroma.co
このツールは、インターネット上の人気の高い色の組み合わせを学習しているので、実際よく使われている色の組み合わせから生成してくれる。組み合わせは、タイポグラフィ、グラフィック、グラデーション、イメージ、パレットなど様々な様式で確認することができ、デザインのトンマナなどをする際に手助けとなってくれるツール。単純に好みの色を選んでその中からカラーパレットを生成するのではなく、ユーザーごとに好みの色を学習することによって、その人が好むであろう配色を使ってカラーパレットを作成することができるのが大きなポイント。まだbata版になりますが、無料で使用することができる。
AIがWEBサイトをデザインする
Wix ADI
http://www.wix.com/about/adi-get-access
テンプレート選択型のHP作成サービス「Wix」の機能で、AI(人工知能)によって自動でオリジナルHPが作成できるサービス。サイト作成サービス企業のWixが昨年ローンチした「Wix ADI」(Wix Artificial Design Intelligence)。簡単な情報を入力するだけで、自動的にその情報にもとづいたデザインやイメージ写真が組み合わされたHPが作成され、既存のサイト作成の流れの一部を人工知能に任せるという方法でサイト作成を進めることができる。通常業務のクライアントに対して使用するというよりは、簡単なサンプルやプロトタイプを作るにはよいかもしれない。
Firedrop
https://app.firedrop.ai
こちらもランディングページなどのWebサイトのデザインを簡単にAiが作ってくれるツール。このツールのポイントは、LINEのように、チャット的に会話をしていくだけでWebサイトができてしまうところだ。スマホからも、全くコーディング知識無しで簡単に公開まで出来てしまう。
AIスライド作成ツール
Beautiful.AI
https://www.beautiful.ai
「AI」の力で誰でも・迷うことなく、デザイン性の高いスライドを作成することができるツール。
さらに、豊富な画像やテンプレート、アニメーションなど、ほぼ全ての機能が「無料」で使える。
一からスライドを作ろうとすると、意外と時間がかかってしまいがちだが、このツールはテキストや画像を入力するだけで、誰でも簡単に見栄えの良いスライド資料を作成することができる。
まとめ
これらツールをうまくつかうことでデザインや思考パターンの選択肢を広げ、直感的に使いこなせるようになれば、
デザイナーの仕事も効率化しながら、AIをうまく利用した、より付加価値のある提案をできるようになるのではないだろうか。
<参考>
- AIデザインツールがあればデザイナーは必要ない?
https://arutega.jp/ai-design-tool/
- AIがデザインする時代が到来!デザイナーはこれから何をデザインすればいい?
https://ferret-plus.com/7241
- AIでロゴを自動的にデザインしてくれるTailor Brandsが$15.5Mを調達
https://jp.techcrunch.com/2018/05/10/2018-05-09-tailor-brands-series-b/
- AIを活用してロゴデザインを行うLogojoy
https://jp.techcrunch.com/2016/12/02/20161201logojoy-makes-designers-unemployed/
https://cowk.jp/magazine/
- AIで秒速HP(ホームページ)ができる!?Wix ADIで訪れる未来とは
https://aizine.ai/ai-hp-wixadi-0428/
- もうプレゼン作成で迷わない!AIが資料レイアウト・配色を最適化する「Beautiful.AI」
https://seleck.cc/1177
https://www.gentie.com/blog/communication/3125/
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