東京オリンピックではAIが活躍すると言われている。AIの活躍する場と考えると観光案内がすぐに思いつくが、それだけではない。交通案内だけでなく、競技の採点や交通渋滞の混雑緩和にも役立つシステムが開発されているのだ。このコラムではそうした東京オリンピックで活躍するであろうAIについて紹介する。このコラムを読めば、東京オリンピックがAIによってどのように変わるのか分かるはずである。
続きを読む採点AI(人工知能)
オリンピックの採点競技は技が複雑になってきており、人間の目だけでは採点が困難になってきている。競技後にVTRで確認できたとしても、その微妙な採点基準では間違いが起きる可能性は十分ある。こうした間違いは選手一人の人生を大きく変えてしまう可能性もあるため、正確な採点を行う必要があるのは間違いないだろう。そこでAIが採点をするという話になる。実際に富士通が開発した「3Dセンシング」はより正確に採点を出すことができるAIだ。3Dセンサーで正確に人間の動きを把握し、その情報から技を特定する。人間が目で判断するよりも正確に技の判断ができるため、正確な得点が出せるという仕組みだ。
AIを導入することで、採点を出すスピードが速くなるため、競技がスムーズに進む。また採点基準がはっきりすることで、選手も競技をやりやすくなる。一方、観客もその技がどのような技で、なぜこの得点なのか明確に分かるようになるため、競技を楽しむこともできるだろう。さらにAIの採点は観客にその競技の凄さをより実感させてくれるはずである。こうした採点方式を取ることで、ファン層の拡大も望めるだろう。
AIを活用した混雑緩和システム
オリンピックはさまざまな会場で行われるが、試合が終われば観客は次の会場へと移動する。その際に渋滞が発生することが多い。オリンピックに限らず普段のサッカーや野球の試合でも渋滞が発生するのだから、オリンピックではさらなる混雑が予想されている。ある程度混雑は避けられないが、ルートが複数ある場合、それぞれのルートにばらけることで混雑を緩和することは可能だ。
そこでAIを使って、30分後の混雑状況を伝える。電光掲示板だけでなく、スマホでも見られるようにしておけば、観客たちは空いているルートの方へと移動するはずである。そうすることで混雑は効率よく緩和されるだろう。このように混雑状況を予測するためには事前のデータ収集が不可欠だ。そのためAIは普段の混雑状況に関するデータを収集して分析することになる。データは蓄積され、東京オリンピックで生かされることになるだろう。
案内ロボット
案内ロボットと言えばペッパーが有名ですが、他にもさまざまな案内ロボットが登場でしている。例えば日立の「EMIEW3」だ。ペッパーよりも小さく、機動性にも優れ、立ち止まっている人の声をかける。万が一転んでしまっても自分で起き上がることができる。もちろん日本語以外での言語でも対応可能だ。
オリンピックには大人だけでなく、子どもや高齢者の方も来るので、そうした方にも対応可能な作りになっている。こうしたロボットがいれば、外国人の方も迷うことなく東京オリンピックを楽しむことができるだろう。
他にもゲーム会社のアルゼゲーミングテクノロジーが開発したロボットであるARISAが都営地下鉄施設内で実証実験が行われている。音声で操作でき、しかも反応が早いため、キーボードで打ち込むよりも格段に速い。急いでいる時にキーボードでは遅すぎて案内としては使えない。音声案内でも反応が遅いものは利用できない。音声で案内がスムーズに行われるのは、こうした案内ロボットの利点であろう。
ロボットタクシー
2020年までに無人のロボットタクシーを実用化すると安倍首相が宣言した。ロボットタクシーが実用化すれば、各会場への移動が楽になり、さらに渋滞の改善も期待されている。日本ではDeNA、ソニー、ソフトバンクがロボットタクシーの開発を行っている。いずれでも自動車メーカーではないが、ロボット開発に取り組んでいるため、ロボットタクシーの開発に積極的であるのは納得できる。
特にDeNAはロボット開発ベンチャーのZMPと合弁会社を設立している。このロボットタクシーは人を運ぶだけでなく、空き車両の時には物を運ぶことができるため、一挙両得だと言われている。確かに空車のまま移動するのは無駄である。そこを利用しない手はないはずだ。こうした新しいアイディアが出てくるのはロボットタクシー事業の特徴だろう。
こうしたロボットタクシーはオリンピックだけでなく、過疎地でも活躍すると考えられている。過疎地はタクシーだけでなく、バスもなくなっているところが多い。そうした地域でロボットタクシーが活躍すれば、過疎地の方も移動ができるようになる。国が地方自治体にロボットタクシーを提供するということも十分考えられるだろう。ただ現状では道路交通法の関係で、運用できないので、法律を変える必要性も出てくる。今後、法整備も含め、どのような展開になるのか、見守っていく必要があるだろう。
警備ロボット
警備員も人材不足の波が訪れている。このままでは東京オリンピックでも人材確保が急務であるが、それであれば警備ロボットを導入するという方法もある。日本ではさまざまなキビロボットが開発されているが、例えばALSOKでも警備ロボットを開発している。「REBORG-Z」は危険性の検知だけでなく、消化機能も備わっている。他にも夜間の侵入者検知も可能だ。
こうした警備ロボットはALSOKだけが開発しているわけではない。このまま開発が続けば、警備ロボットは危険を感知して、通報することができる。あらかじめ怪しい人物のデータを分析していれば、問題が発生する前に逮捕することも可能だ。また、警備ロボットが移動しているだけで、犯罪の抑止にもなる。
まとめ
これまで東京オリンピックで活躍が予想されるAIについて説明してきた。こうしたAIは東京オリンピックが終了すれば、その後使われないというわけではない。オリンピック以外にも活用すべき場がたくさんある。東京オリンピックを契機にAI革命が日本で起こるかもしれないので、注目してほしい。
<参考>
- AI(人工知能)がオリンピックで大活躍!その驚くべき活用事例とは(エーアイジン)
https://aizine.ai/ai-olympic-sports-0426/ - 2020年オリンピックに向けて変わるロボット×日本の未来(エーアイジン)
https://aizine.ai/2020-robot0821/ - 東京五輪こそがAI先進国になる絶好のチャンスである3つの理由(CAPA)
https://www.capa.co.jp/archives/20636 - 東京オリンピックの会場周辺、AIで混雑を緩和するシステムを計画(AI BIBLIO)
http://ai-biblio.com/articles/1870/ - 体操競技の採点を3Dセンシングでより正確に!「未来の審判」のカタチとは?(FUJITSU JOURNAL)
https://journal.jp.fujitsu.com/2016/09/07/01/ - EMIEW3とロボットIT基盤:ロボティクス(日立ホームページ)
http://www.hitachi.co.jp/rd/portal/highlight/robotics/emiew3_01/index.html - ロボットタクシー、「2020年実現」に挑むワケ(東洋経済オンライン)
https://toyokeizai.net/articles/-/72531 - ALSOKが新型警備ロボット「REBORG-Z」をお披露目 SEQSENSEの「SQ-2」と共に三菱地所ビルで活用へ(ロボスタ)
https://robotstart.info/2019/03/05/moriyama_mikata-no83.html - ALSOKが常駐警備の高度化・効率化を実現する新たな警備ロボット「REBORG-Z」を開発(ALSOKホームページ)
https://www.alsok.co.jp/company/news/news_details.htm?cat=2&id2=969 - 案内ロボットで初めて「音声認識が便利」だと思った(GASKET)
https://gasket.bizright.co.jp/2018/12/2501-3/
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