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AIを取り得いれた日本のスタートアップ5選

AIの技術をさまざまな分野へ導入することを目指し、技術開発に力を入れているスタートアップ企業が、日本国内には多数存在する。今回は、画期的なサービスの提供により、今後の躍進が期待されるAI関連のスタートアップ企業5社を紹介する。

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昨今、AIの発展に注目が集まっている。AI技術の開発を担うのは、大学などの研究機関だけではない。AIの技術をさまざまな分野へ導入することを目指し、技術開発に力を入れているスタートアップ企業が、日本国内には多数存在する。今回は、画期的なサービスの提供により、今後の躍進が期待されるAI関連のスタートアップ企業5社を紹介したい。

日本のAI活用を先導するスタートアップ企業5選

幅広いAIの技術を提供する「Shannon Lab」

Shannon Labは、学習型人工知能システムや音声認識、発話システムといった技術を得意としており、AIに関する幅広いサービスを展開している。Shannon Labは、数学の博士号を有する田中潤氏によって、2011年に設立された。田中氏によると、Shannon Labではオーダーメイドでの開発が可能で、設計から開発・運用、アフターサポートまでのすべてを担うことができるという。

たとえば、騒音環境下での音声認識を可能にした「アコースティックレンズマイク」、AIを搭載したタブレットで高齢者とケアマネージャーをつなぐ「ケアエージェント」など、AIが本格的に活躍する時代に向けた実用的な開発事例がある。
また、思い浮かべた映画名を当てることができる「脳クラゲ」、ブラウザ上で女の子のAIと対話できる「ブラウザ彼女」など、ユニークなサービスの提供にも力を入れている。
こういった幅広い技術開発は、日本の社会にAIが浸透していく中で必要不可欠なものとなるだろう。田中氏が掲げている、チューリングテストのクリアという目標が達成されれば、Shannon LabはAIのスタートアップ企業としてさらなる飛躍を遂げるはずだ。

AIによる対話システムを展開する「Nextremer」

Nextremerは、AIによる対話システムの開発や研究を行っているスタートアップ企業だ。2012年、SEなどの経歴がある、向井永浩氏によって設立された。Nextremerは、ユーザーの課題を解決するAIの対話システムを実現することを目標に掲げている。実際に提供しているサービスには、「minarai」という、チャットボットを利用したカスタマーサポートシステムがある。minaraiの自然言語処理機能は、非常に評価が高い。深層学習をベースとし、それぞれの業界に合わせたシナリオデータベースを組み合わせて、高いサービスを実現した。

また、Nextremerは、関連企業や大学の研究機関とともに、ロボットやモビリティ分野を視野にいれたAIの共同研究にも力を入れているという。空港や駅の案内システムにminaraiを提供するなど、公共施設にも積極的にサービスの提供をしている。

なお、Nextremerは東京に本社を置き、高知県にも開発拠点や子会社を有している。高知銀行などからも事業資金を調達しており、今後の動向が気になるところだ。現在は、高知県の開発拠点に配置する人員を100名に増やし、システムの品質向上に励んでいる。

AIでweb上に広がる人材を網羅する「Scouty」

Scoutyは、企業の採用にAIを投入し、企業に適した人材を見つけ出すサービスを提供している。このサービスでは、従来の転職サービスのように、webサイトに登録された転職希望者と企業のマッチングを行うわけではない。定期的にweb上を巡回しているScoutyのクローラーが、優秀な人材に関する情報収集を行う。
実際に、企業が求めるような人材が見つかれば、web上に公開されている連絡先を通してスカウトを送る。ScoutyのAI技術によるサービスを利用すれば、転職サイトに登録しているか否かに関わらず、すべての優秀な人材にスカウトを送ることが可能だ。

Scoutyは、京都大学やエディンバラ大学などでAI研究に取り組んできた島田寛基氏によって、2016年に設立された。「人工知能が、天職を探し出す」をテーマとして掲げている。現在は、エンジニアのマッチングをメインとしているが、デザイナーなどほかの職種にも徐々に対象を広げていくという。Scoutyは、人材の採用にAIを取り入れるスタートアップ企業として、注目を集めている。従来なら出会うことができなかった人材と企業を結び付けることができるScoutyのサービスは、今後ますます発展していくだろう。

webマーケティングを可視化する「WACUL」

WACULは、多くの企業が頭を抱えるwebマーケティングの分野において、情報と対策を分かりやすく整理することができる、画期的なシステムの開発に力を入れている。それを具現化したのが、webサイトの分析から改善方法の提案までをAIが一貫して担う、「AIアナリスト」というサービスだ。これを利用すれば、企業のマーケッターは、webサイトをターゲットに届けるための改善を、より容易に施すことができる。webサイトは、いまや企業がこぞって力を入れている、重要な広告媒体だ。インターネット上での発信が、企業の業績に大きく影響することも少なくはない。

WACUL は、前職でユーザビリティコンサルタントに就いていた大津裕史氏により、2010年に設立された。WACULを利用するwebサイトは9000を超えており、すでに多くの企業でAIによるマーケティングの能力が発揮されている。AIアナリストは、月額4万円から利用が可能だ。適切なマーケティングにより大きな成果が得られることを考慮すれば、企業にとっては破格といえる金額ではないだろうか。WACULは、AIによるマーケティングで、今後の日本経済の発展に大いに貢献する存在となるだろう。

AIで金融業界に革命を起こす「xenodata lab.」

xenodata lab.は、金融業界に存在する課題に注目し、それに特化したAIの技術開発を行っている。xenodata lab.は、大学在学中から公認会計士として活動していた関洋二郎氏によって、2016年に設立された。関氏は、その経験から、金融機関での情報分析はまだまだ発展の余地があるという課題を見出した。この課題を解決するには、AIをはじめとするコンピュータ技術が有効だと考え、さまざまなシステムの開発に力を入れている。

たとえば、xenodata lab.が開発した「ゼノ・フラッシュ」は、決算が発表されたあと、瞬時にその要点をまとめ、視覚的に分かりやすい内容にまとめるという自動分析技術だ。これを人間の手で作るとすれば、数字時間、場合によっては数日の時間を要することだろう。

xenodata lab.は、「テクノロジーの力で、5年後の当たり前を提案する」ことを使命として掲げており、常に先を見据えた開発に力を入れている。xenodata lab.は、金融業界にAIが導入されることを当たり前にするスタートアップ企業として、注目を集めている。

日本のスタートアップ企業の力でAIを身近な存在に

AIは、さまざまな分野への導入が検討されている。今回紹介した5社をみても、それぞれが独自のAI技術を開発し、多様な分野へアプローチしている。AIの技術は、今後ますます私たちの生活の中に広がっていくだろう。スタートアップ企業の力でAIがさらに人々にとって身近な存在となり、生活をより便利で豊かにしていくことに期待したい。


<参考>

  1. 騒音下でも音声認識できる!ノイズに強い音声認識専用マイク(Shannon Lab)
    http://shannon-lab.co.jp/?p=5565
  2. 脳クラゲにブラウザ彼女・・・ユニークな人工知能アプリを次々開発するベンチャーShannon Lab~人工知能アプリはどこまで身近になっているのか (DREAM GATE)
    https://www.dreamgate.gr.jp/contents/case/company/27448
  3. 高知発・AI対話システム開発のNextremer、産業革新機構などから4.7億円の資金調達 (TechCrunch Japan)
    https://jp.techcrunch.com/2017/08/09/nextremer-fundraised-470-mil-yen/
  4. SNSやGitHubのデータから最適な人材を発掘、AIヘッドハンティングの「scouty」が公開 (TechCrunch Japan)
    https://jp.techcrunch.com/2017/05/25/scouty-release/  
  5. 人工知能でサイト改善提案「AIアナリスト」の開発元が3.5億円の調達、電通との提携も視野に(TechCrunch Japan)
    https://jp.techcrunch.com/2017/02/06/wacul-ai-analyst-series-b/
  6. 独自アルゴリズムと自然言語処理で企業の決算情報を読み解くxenodata lab.、恵比寿の閑静な住宅街で日夜技術開発に邁進中:(THE BRIDGE)
    http://thebridge.jp/2017/03/xenodata-lab-office-tour
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