政府も積極的に導入をすすめる、Linked Open Dataとは

Linked Open Dataや、新たな組み合わせ最適化問題の解法技術で、新しい営業の仕事の仕方が大きく変わりつつある!?

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政府も積極的に導入をすすめる、Linked Open Data

Linked Open Dataでの統計データの提供は、日本政府も積極的に導入をすすめている。

政府の提供したLinked Open Dataを組み込んだアプリには、たとえば災害対策アプリなどがある。

GPS位置情報と地図情報を関連付けして、ユーザーに役立つアプリケーションがスマホなど簡単に誰でも自由に利用できるわけだ。

Linked Open Dataのことを聞いたことがないような人でも、知らないうちに一度は利用したことがあるのではないだろうか。

Linked Open DataとAIを活用して営業活動を支援する取り組みは、もちろん民間の企業でも活発だ。

Linked Open Dataを利用したサービスには、その地域特有の特性データを活かしたサービスも構築可能だ。

たとえば、ビジネス・営業活動についてもLinked Open Dataを使った優れたサービスが展開されている。

また、膨大なデータを処理する新しい驚異的な技術も開発された。

その取り組みの状況を、例を通して見てみよう。

政府オープンデーター_人口知能

Linked Open Data(LOD)とは?

日本政府での一元的な統計の窓口である”e-Stat”は、2008年4月から運用が開始された。

e-Statでは2016年4月時点で約500の統計調査、約120万もの統計表が提供されているという。

国立研究開発法人科学技術振興機構の「J-STAGE(科学技術情報発信・流通総合システム)」の記事によると、Linked Open Dataは、オープンデータとしては最も優れていると言われている、とのことだ。

ただしLinked Open Dataでの統計データの提供は、ここ最近になってからのことだ(e-Statでは2016年6月から提供)。

それまでは、統計データの配布形式はExcelなどのフォーマットでの提供が行われていた。

特定のアプリの特定のフォーマットでは、やはり不便も多いのは、これまでのWebの歴史から見ても明らかだ。

私達がプログラムなどを通じて膨大なWebサイトから情報を取得する場合、Webサイトからスクレイピングしてhtmlのタグや自然言語の文章を解析するなどをしている時もある。

この場合はデータベースには不向きな非構造的データを解釈するため、非常に高度な意味の解釈が必要で手間が余分にかかってしまう、

一般的なWebサイトは、マシンが自動で処理できるようなデータとして構造化されてもいないし、ノーマライズもされているわけではない。

通常のWebサイト(HTML)は人間にとっては見やすく理解しやすく作られたが、マシンによって自動で取得、分析するのは容易ではない。

WebサイトやExcelなどの形式で取得した情報は、それをプログラムから利用するためには人間がいちいち手作業でデータを振り分けたりするか、もしくは(最もありがちなのは)「諦める」ことだった。

Linked Open Dataというのは、人間の見やすさではなく機械的自動処理が行いやすいように構造的データを提供するものだ。

“Linked”の名の通り、Webのようにリンクによって相互のデータ間の(ハイパー)リンクもあるため、目的のデータと関連するデータをみつけやすい。

誰もが公平で自由に使えるよう、データ形式も特定の企業のソフトに依存しないCSVやJSONなどの構造化データが推奨される。

Linked Open Dataの考案者は、あのティム・バーナーズ=リーだ。

ティム・バーナーズ=リーと言えば、”WWW(World Wide Web)”を発明し、最初のWebブラウザを作ってURLやHTTP、HTMLの最初の設計も行ったという、現在世界中の人が恩恵に預かるWebの立役者だ。

(バーナーズ=リーがWebの最初の論文を書いたのが、1990年のクリスマス。意外にも、Webの歴史はまだ30年も経っていないが、急激に世界が変わっていっていることがよくわかるだろう・・・。)

セマンティックWebの提唱者でもあるティム・バーナーズ=リーは、自分で考案した人間の閲覧するWebサイトとはまた別に、マシンが自動で解釈可能なデータのためのWebを構想し、そのための規格基盤を作っているわけだ。

対象企業の地域における位置づけも分析

Linked Open Dataは、政府などの公共機関だけが提供しているわけではない。

たとえば「OpenStreetMap Japan」(*1)や「LinkData」(*2)などの民間のサイトがある。

また、有名企業でも、たとえば株式会社富士通研究所では「企業情報分析Webアプリ」も無償で公開されている。

Linked Open Dataを利用したサービスには特徴がある。

いずれも地域性の違いを活かしたデータに強みがあるようだ。

企業情報分析Webアプリでは、法人向けの営業活動をする上で、営業対象となる企業の下調べやその地域の特徴など、調べたい企業の情報を多角的な視点で見やすく提供するという。

特にLinked Open Dataらしさ、利点を活用し、その企業の関係会社などの紐付けされた情報へのリンクが活かされた情報の提供ができる。

調べたい対象の内部的特徴だけでなく、外部との関係性、たとえば地域内においてのその企業の位置づけの分析や吸収合併の履歴などの参照も可能だという。

企業情報分析Webアプリは、AIプラットフォーム「FUJITSU Cloud Service K5 Zinraiプラットフォームサービス」の一つであるという。

「Zinrai」を核として、Linked Open Dataや社内のデータなどを統合、リンク付けし、多角的な企業分析を「迅雷」のように素早く行う。

同じ企業による驚異的な新しい技術

富士通研究所では、最近別の人工知能関連の大きなニュースもあった。

「デジタルアニーラ」という新しい技術だ。

デジタルアニーラは、デジタルコンピュータであるにもかかわらず量子コンピュータのように組み合わせ最適化問題に特化して高速で解くというものだ。

量子コンピュータはその特性上、非常に不安定で実用が難しいとされているが、デジタルコンピュータの安定した動作で組み合わせ最適化問題を高速に解けるというのは、素晴らしい。

「デジタルアニーラ」を活用することで倉庫内のピッキング作業で最大45%の移動距離を削減することができたという。

もちろん、最適化問題の典型例である「巡回セールスマン問題」や「スケジューリング問題」にも適用できるので、セールスマンの効率の良いルート営業などの解も現実的な時間で探索しやすくなり、大幅な経費削減に役立つはずだ。

(セールスマンが営業先を巡回する最短のルートを求める問題は「NP困難」な問題。

最適化問題の定番とも言える問題だ。)

巡回セールスマン問題でセールスマンが経由する都市を30とすると、組み合わせ爆発が起こり1京×1京通りとなる。

これを総当たり方式で解こうとすると、スパコンでさえ8億年もかかってしまうという。

ところがデジタルアニーラでは、最適解・もしくはそれに近いルートが、(デジタルなのに!)1秒以内で探索できるという。

模擬アニーリング

(模擬アニーリング(焼きなまし)法と量子アニーリング法の比較(イメージ)。

量子アニーリング法では、量子トンネル効果により局所解から一気に最適解へ飛ぶ!(・・・ように見える不思議な現象が起こる))

汎用性の高いディープラーニングでブレイクスルーが起きてAI界隈が盛り上がったが、同じく汎用性の高い範囲に応用できる遺伝的アルゴリズム/遺伝的プログラミングにおいても、ブレイクスルーが起きそうな予感だ。

Linked Open Data + 組み合わせ最適化の新しい手法の組み合わせで、営業現場も大きく変わりそうだ。

営業の仕事現場にも革命が・・・

ティム・バーナーズ=リーがWebで世界を変えたように、AIと周辺技術が今でも世界を大幅に変えつつある。

(Linked Open Dataの普及は、まだまだ半ばの段階だ。さらに量子コンピュータと周辺技術が

世界をさらに変えていく)

自由で公平なLinked Open Dataの活用と、組み合わせ最適化問題に特化した技術の向上との組み合わせで、営業の仕事に関する常識も大幅に変わってくる予感だ。

それらの新しい技術を使いこなせる人材が、営業でも求められていきそうだ。

私達は、大変な変革の時代、ワクワクする時代に生きている実感が強く湧いてくる事例ではないだろうか。


<参考>

  1. Linked Open Data(LOD)による統計データの提供:政府統計データ(e-Stat)の新しい形 (国立研究開発法人科学技術振興機構)
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/59/12/59_812/_html/-char/ja/
  2. Linked Open Data (Wikipedia)
    https://ja.wikipedia.org/wiki/Linked_Open_Data
  3. ティム・バーナーズ=リー (Wikipedia)
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ティム・バーナーズ=リー
  4. オープンデータを活用し企業の営業活動を支援する企業情報分析Webアプリの無償公開を開始 (富士 通)
    http://pr.fujitsu.com/jp/news/2017/06/15-1.html
  5. 量子現象に着想を得た、組合せ最適化問題を高速に解く「デジタルアニーラ クラウドサービス」を提供開始 (富士通)
    http://pr.fujitsu.com/jp/news/2018/05/15.html
  6. スパコンで8億年かかる計算を1秒で解く富士通の「デジタルアニーラ」 ~量子現象に着想を得て開発した、これまでにないコンピュータ (PC Watch)
    https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1113270.html
  7. *1: OpenStreetMap Japan | 自由な地図をみんなの手に/The Free Wiki World Map (OpenStreetMap Japan)
    https://openstreetmap.jp/
  8. *2: オープンデータを加工して共有しよう|オープンデータ共有&ダウンロード(LinkData)
    http://linkdata.org/
  9. 『Webを支える技術 -HTTP、URI、HTML、そしてREST』 (山本 陽平著)
  10. 『[オープンデータ+QGIS] 統計・防災・環境情報がひと目でわかる地図の作り方』 (朝日 孝輔、 大友 翔一著)