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料理の献立はAIにお任せ!【事例紹介4選】

AI(人工知能)が料理の献立を考えたら、どのような味になるのだろうか。IBMやベンチャー企業が、その興味深いテーマに挑んでいる。

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マヨネーズをチョコのなかに入れることは、実はとても理にかなっている。なぜならフルーツチョコレートやバターチョコレートが存在するからだ。フルーツには酸味があり、バターにはコクがある。そしてマヨネーズにも酸味とコクがある。

マヨネーズチョコはIBMが開発した献立AI(人工知能)「シェフ・ワトソン」が考案したレシピで、パティシエも高く評価したそうだ。

これまで世の中になかった料理の献立をつくるには、高い創造性が必要だ。そして料理や食材の知識も必要になる。

だから「賢い」と評判のAIなら、しっかりした献立をつくってくれそうだ。

4つの献立AIの実力を探ってみた。

AI-献立

シェフ・ワトソンとは、その実力とは

シェフ・ワトソンはコンピュータソフトウェアの一種で、IBMとアメリカの料理雑誌出版社ボナペティが共同で開発した。IBMがAI技術を提供し、ボナペティが料理の知見を提供したわけだ。

AIには思考や創造に「似た」動きをするものもあるが、それでもまだ「教師」や「学習」は必ず必要になる。そこでAIを使って高品質の成果を得ようとする場合、各分野のプロフェッショナルの知見が必要になる。このIBMとボナペティのコラボはその典型例といえるだろう。

200万種類のレシピがあるクックパッドとの違い

献立AIの目的は、献立づくりという大変な作業を人の代わりに行うことだ。例えば、冷蔵庫のなかに4つの食材があり、これを使って夕食をつくらなければならないときに、献立AIが役立つ。

しかし献立づくり支援なら、日本には「クックパッド」がある。クックパッドは、Webサイトの画面に食材名を入力するだけで、200万種類のレシピのなかから適切な献立を提示する。

クックパッドと献立AIは何が違うのだろうか。非AIのクックパッドができることを、あえてAIで実施する必要があるのだろうか。

シェフ・ワトソンなどの献立AIと、クックパッドのような非AIレシピサイトの最大の違いは「今考えるかどうか」だ。

非AIレシピサイトは、いくら検索機能が向上し、ユーザーが「まさにこの料理が食べたかった」と高く評価したとしても、表示されたレシピは過去につくられたものだ。

一方の献立AIは、ユーザーから相談があった段階からレシピをつくり始めるので、まさに「創造に似た」動きをする。

つまり、非AIレシピサイトの場合、きょう「減塩、ジャガイモ、おやつ」で検索しても、1週間後に「減塩、ジャガイモ、おやつ」で検索しても同じ結果が出る。

しかし献立AIは同じ検索ワードを入れても日によってレシピが異なる可能性がある。例えばAIに「人は同じものを食べ続けると飽きる」ということを教えれば、あえて異なる味付けのレシピをつくろうとするだろう。

ただこれをもって献立AIのほうが非AIレシピサイトよりおいしい調理を提案できるとはいえない。なぜなら献立AIはまだ料理経験が浅いが、非AIレシピサイトには経験豊富なプロ・アマの料理人が投稿できるからだ。

シェフ・ワトソンの仕組み

シェフ・ワトソンが、ユーザーが指示する食材や味の好みからレシピを考案できるのは、その食材や味の好みに関連するあらゆる情報を集め、最適解を導くことができるからである。

シェフ・ワトソンのレシピが独創的になるのは、偏見がないためだ。冒頭で紹介したマヨネーズチョコの場合、シェフ・ワトソンには「チョコにマヨネーズをかけるなんて気持ち悪い」という偏見がない。ではシェフ・ワトソンが何に着目するのかというと、食材の属性だ。

フルーツチョコとバターチョコはそれぞれ「酸味+チョコ」と「コク+チョコ」に属性わけすることができる。そしてマヨネーズは「酸味+コク」に属性わけすることができる。

AIは「酸味+チョコ」と「コク+チョコ」が成立するなら、「酸味+コク+チョコ」が成立するはずだ、と判断するのである。

ただ料理は、属性だけでうまい・まずいは決まらない。それでも、もしシェフ・ワトソンがまずいレシピを考案したら、シェフ・ワトソンに「あのレシピはまずかった」と教えればよい。するとシェフ・ワトソンは一切心を傷つけることなく、まずい料理に含まれる要素を排除しようとする。

すなわちシェフ・ワトソンは日に日にユーザー好みの味を考えられるようになるのだ。

シェフ・ワトソンとクックパッドがコラボ

先ほどシェフ・ワトソンとクックパッドの比較をしたが、実は両者は「シェフ・ワトソンと一緒に作る家族が喜ぶ新作レシピ」という企画でコラボしている。

クックパッドのプレミアム会員がシェフ・ワトソンを使って新作料理を考案する内容になっている。

me:newとは、その実力とは

株式会社ミーニュー(本社・岡山市)が開発したスマホアプリ「me:new(ミーニュー)」は、ユーザーの好みや栄養を考えてレシピを提案してくれる。

同社がミーニューを開発したのは、1日20分も献立づくりに頭を悩ませている主婦・主夫を救うためだ。

ミーニューに好みの食材を入力すると、1週間分の献立を作成する。同時に買い物リストもできあがるので、そのとおりに調達すれば献立とおりの料理をつくることができる。もちろんそれぞれの献立には調理方法も紹介されている。

OHaNASとは、その実力とは

OHaNAS(オハナス)は玩具メーカーのタカラトミーが開発した対話型ロボットだ。オハナスの外観は両手に収まるほどの球形で、愛くるしい目と耳がついている。

ただオハナスのメーン機能は献立づくりではなく、ユーザーと会話することだ。ところがオハナスは「ある方法」をつかって、ユーザーに献立を提案することができる。

ユーザーがオハナスに食材や食の好みを話しかけると、その内容にマッチしたレシピをクックパッドのなかから探し出し、ユーザーのスマホに表示させるのだ。原理としては人が音声でネット検索するのと同じである。

したがってあえて「無粋な」言い方をすると、オハナスを介す分、料理の作業量が増えてしまう。ユーザーがオハナスを無視して、直接スマホでクックパッドのサイトを開いたほうが、早く目的のレシピにたどりつくことができる。

しかしオハナスの価値は「そういうこと」ではない。ロボットに調理を手伝ってもらったことに意味があるのだ。例えば、親が小学2年生のわが子に卵をかき混ぜてもらうことで料理に参加させるのは、調理の効率化を考えてのことではなく、料理を通じて親子のコミュニケーションを取るためだ。それと同じように、料理を楽しくさせる力がオハナスには備わっている。

モリーとは、その実力とは

イギリスのロボット会社、モリー・ロボティクス社が、家庭用AI料理ロボットを開発した。キッチンにロボットアームを取りつけ、スパゲティを茹でたり、フライパンのなかのトマトソースにみじん切りした玉ねぎを投入して混ぜたり、調味料を振りかけたり、皿の上にのせたスパゲティにトマトソースをかけたりする。

これはモリーの「調理の腕前」だが、モリーには「料理の頭脳」も搭載されている。料理のプロがモリーのAIの教師役になり、2,000種以上のレシピを教えた。

だからユーザーが「こんばんはこんな感じの料理が食べたい」といえば、一流のシェフの味が家庭で再現されるというわけだ。

献立AIについて考えてみる

ただモリー・ロボティクス社のこの家庭用AI料理ロボットは、まだコンセプト段階だ。先ほど紹介した工程の一部の作業は、すでに完成しているロボットアームでもこなせるが、料理人や家庭の主婦・主夫たちのように流れるような動きをするには今しばらく時間がかかるだろう。

ただ非常に夢のある話である。

AI-献立

世界初のおいしさを家庭で味わえる

ロボットアームが自宅のキッチンでせわしなく動いているさまはいかにもユニークだ。

そもそもロボットの動きは人の好奇心をかきたてる。例えば自動車工場の溶接ロボットは、アームを「ぐにゃぐにゃ」曲げて、ボディの隅々まで正確に溶接していく。菓子工場の機械が饅頭の皮を焼き、餡子を包み、パッケージングする。これらの産業用ロボットですら、長時間の観察に耐えうる「鑑賞」レベルだ。

家庭用AI料理ロボットの動きは、モリー・ロボティクス社のホームページでみることができる。思わず2度3度と再生してしまうほど、みていて「気持ちがいい」。

再生時間は1分ほどで、このURLで視聴できる。

http://www.moley.com/

世界初のおいしさを家庭で味わえる

そして創作料理も献立AIの魅力になるだろう。将来AI料理ロボットが発売され、それを購入したら、毎日「何を食べさせてもらえるのだろうか」とわくわくするに違いない。なにしろAI料理ロボットの「師匠」はプロの料理家なので、世界初のおいしさを家庭で味わえるようになるかもしれない。

そしてAI料理ロボットをインターネットにつなげば、AI料理ロボット自身が世界の最新料理を研究し始めるだろう。そうなれば「家庭料理」こそ最新かつ極上の料理になるかもしれないのだ。

まとめ~創造的な仕事に次々挑戦

献立AIやAI料理ロボットの開発は、AIの仕事がますます創造的になっていく過程でもある。AI研究は当初、コンピュータに人間並みの能力を持たせることが目標だったはずだ。しかし2010年代にブレークスルーが起き、チェス、囲碁、将棋の超高度ボードゲームにおいて人間の頭脳を超えてしまった。

ビジネスシーンでは事務作業だけでなく、「人間にしかできない」といわれていたマーケティング領域にもAIが投入され始めた。

そしてこの料理領域である。AI料理がもし、三ツ星レストランのシェフの味を超えることができたら、それはAIがいよいよ創造性を獲得したといってもいいのではないだろうか。


<参考>

  1. ワトソンがシェフに!人工知能が考える料理のレシピとは?(TECH::NOTE)
    https://tech-camp.in/note/technology/42720/
  2. おすすめ特集IBM「シェフ・ワトソン」(クックパッド)
    https://cookpad.com/pr/tieup/index/694
  3. me:new(me:new)
    https://menew.jp/sp/index.html
  4. 好みや栄養を考えた“最長1週間分の献立”を自動作成できる iPhone用アプリ「me:new(ミーニュー)」をローンチ(@Press)
    https://www.atpress.ne.jp/news/66851
  5. HaNAS(オハナス)」アプリサービス終了と代替アプリのご案内(タカラトミー)
    https://www.takaratomy.co.jp/products/omnibot/ohanas/
  6. Future is Served(Moley Robotics)
    http://www.moley.com/
  7. World’s First Robotic Kitchen Unveiled(Moley Robotics、YouTube)
    https://www.youtube.com/watch?v=NnUDhjG95jI
  8. 近未来型ロボットシェフ「モリー(Moley)」(ROBOTEER)
    https://roboteer-tokyo.com/archives/6612
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