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人工知能を使えば採点業務が楽に!!~人工知能を活用した自動採点3例

2020年の大学入試改革など、記述方式の試験が増えてくることが予想される中で、人工知能を使った自動採点の開発はますます進んでくることになり、人間が書いた答案を人工知能が採点するという時代が実現するのかもしれない。今回は人工知能を活用した自動採点を3例紹介する。

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2020年の教育改革を受け、記述方式の自動採点の需要は高まってくると思われる。そうした状況の中で、現在、どれくらいまで自動採点ができるようになっているのか、代表的な3事例を紹介する。

教育業界に携わっているものなら採点業務をしたことがない人はいないだろう。選択方式の問題であれば、採点はとても簡単で時間もそれほどかからないが、記述方式の問題となるとそうはいかない。生徒の答案の内容を理解し、それが正解かどうか考える必要がある。また、記述方式の場合、部分点も考える必要があるので、採点基準に照らして、この答案は何点と採点していかなければならない。こうした作業は思った以上に大変であり、教師の仕事を大幅に増加させている。この採点業務を人工知能で行うことはできないだろうか。この記事では人工知能を活用した自動採点の例を紹介する。

事例1:EduLab

人工知能を用いて答案を採点するためには、まず生徒が書いた手書きの答案を文字として正しく認識する必要がある。いわゆるOCR技術である。OCRは活用したことがある人も多いが、一般的に手書きではない文字認識でも間違いが多く、精度が高いとは言えない。特に日本語の場合、漢字、ひらがな、カタカナと文字の種類があるので、認識が難しいのである。

しかし、そうした中で、EduLabグループではその認識率98.66%と驚異的な認識率を誇っている。こうした技術を用いることで、「1設問あたり最大83%の採点工数カット(同社算出比)を実現した」としている(EduLab、AIを活用し手書き文字認識率98.66%を実現)。

2018年には「教育業界においては2020年に予定している学習指導要領の改訂を機に、ますます増えることが予想されている記述式答案の採点業務の効率化に貢献する」(AIを活用した手書き文字データ化サービス「DEEP READ」販売開始)ため、「DEEP READ」というサービスを開始。現時点では、人工知能による自動採点は実現していないが、今後、人工知能を使った自動採点を可能にすべく、開発が進められることになるだろう。

事例2:英語手書き認識採点システムSiF

事例1のように、手書きの文章を認識する技術は進んでいるが、採点をするためには、それが模範解答同じであるかどうか判別する必要がある。日本語よりも英語の方が文法も分かりやすく、手書きの文字認識もしやすいので、自動採点をしやすいのは間違いない。

この「英語手書き認識採点システムSiF」は「AI(人工知能)画像解析エンジンを搭載しており、手書き答案を読み込み、文字を自動的に解析、リアルタイムで採点・分析してくれる」システムだ(英語のペーパーテストの採点を自動化できる「英語手書き認識採点システム SiF」)。

採点業務の効率化が図れるのはもちろんであるが、手書きの文字をテキストデータとして保存し、さらに間違った問題のデータを収集・分析できるため、個々の生徒に合わせた指導を行うための役にも立つ。英語の試験に関してはこうした技術を利用した、自動採点化はますます進んでいくことだろう。

事例3:JS4

事例1で紹介した技術は手書き文字を認識する技術までだったが、JSはその解答が模範解答と同義であるかどうかの判定をする技術である。事例2で紹介したように、英語が中心の欧米ではこうした技術の開発は進んでいるが、日本語の場合、かなりハードルが高いと言われている。しかし、このシステムでは3つの方法を組み合わせて良い成績を得ることができたという。それぞれを簡単にまとめると以下のようになる。

1.質問応答システム

例えば「いつ江戸幕府が開かれたか」「誰が江戸幕府を開いたか」などの質問をして、その言葉が正しく文中に表現されているかを判断する方法である。質問応答システムの研究はかなり進んでおり、この質問に対して間違った言葉が入力されている場合は、その解答が間違いであると判別することができる。

2.構文木のマッチング法

この方法は意味を解釈する際に述語を中心にする方法で、その述語に対して主語は何か、目的格は何かなどを判別していく方法である。この方法は「適用できないこともありますが、うまくいくときには100%正しいものがわかるという方法」(人工知能を利用した記述採点支援システム)である。

3.単語の共起率で考える方法

共起とは「一まとまりの記事の中で、二つの単語が同時に出現すること」を言い、「それらの単語が意味的に非常に似た概念、あるいは近い関係にある」ことを言う(人工知能を利用した記述採点支援システム)。つまり、固有表現以外の言葉を別の共起語に置き換えることが可能かどうかで判断する方法である。「この共起確率は二つの単語のペアしか見ていないですが、非常に適用範囲が広いので、ベースラインを保証するという意味ではうまく使え」る方法である(人工知能を利用した記述採点支援システム)。

JSはこうした方法を利用し、模範解答と採点基準をあらかじめ用意しておき、それをもとに人工知能が採点し、その採点が正しければ最終的に人間が「確定ボタン」を押すシステム仕組みだ。想定しているのは短文での解答であり、これが500字のような長文のエッセイになるとまだまだ難しいと言われている。ただ2020年の入試改革で想定されている記述方式は80字~120字ぐらいであるため、すべてが人工知能を使って自動化できるのは難しいまでも、採点者の採点の手間を省くことをできるだろう。

まとめ

人工知能を使った自動採点は英語圏を中心に開発が進んでいる。日本語の場合、世界的に開発されるわけではないので、日本での開発を待つしかないが、現状ではすべてが自動で採点されるということは難しいだろう。

しかし、採点基準を明確にすることと、多くの答案を人工知能に学習させることで、人間が採点するのとほぼ同じ採点を実現することは可能になるはずである。そもそも人間が採点するにしても、記述答案の採点に関してはばらつきがあるのが普通である。むしろ人工知能に採点させることを前提にすることで、より採点基準が明確になり、さらに採点に関してもばらつきが少なるとも考えられる。

今後、2020年の大学入試改革など、記述方式の試験が増えてくることが予想される中で、人工知能を使った自動採点の開発はますます進んでくることになり、人間が書いた答案を人工知能が採点するという時代が実現するのかもしれない。


<参考>

  1. EduLab、AIを活用し手書き文字認識率98.66%を実現
    https://ict-enews.net/2016/07/11edulab/
  2. AIを活用した手書き文字データ化サービス「DEEP READ」販売開始
    http://edulab-inc.com/press-release/20180118.html
  3. 人工知能を利用した記述採点支援システム
    https://www.wakuwaku-catch.net/kouen171102/
  4. 手書き文章を「 AI 」が自動採点で学習データ活用~「英語手書き認識採点システムSiF」は紙に書いた文章を「 AI 」が採点をすることができるシステムです。
    https://www.sinewave.co.jp/handwriting/
  5. 英語のペーパーテストの採点を自動化できる「英語手書き認識採点システム SiF」
    https://japan.cnet.com/article/35107453/

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