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画像認識はここまですすんだ!!画像認識の事例②

画像認識は、防犯対策、密猟対策、安全対策に活用することができる。さらに業務時間の短縮にもつながる。そうした事例をここでは紹介する。

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人工知能による画像認識機能はディープラーニングと組み合わせることで、進化している分野のひとつである。そのため、現在、さまざまな分野に使われているが、具体的にどのような分野で使われているのか、その事例を知っている人は少ない。この記事では人工知能の画像認識の事例を3つ紹介する。この記事を読むことで、皆さんの事業で人工知能の画像認識機能を使うためのヒントになるはずだ。

画像認識のイメージ

画像認識とは何か。ディープラーニングがどのように使われているのか

画像認識の世界ではこれまで、人間がその「特徴量」を教えることで、画像を認識することができていた。例えば犬を犬だと認識するためには、犬の特徴を人間があらかじめ教えていなければならなかった。しかし、ディープラーニングを使うことで、コンピュータ自らがその特徴量を獲得し、犬を犬だと認識できるようになったのである。しかし、さまざまな形がある花などを花と認識するのは難しいという限界もあるのも確かだ。ディープラーニングを利用する際にはまだまだ限定的であるのだ。ただし、前述した犬のように、特定の分野に関しては人間よりも早く画像を判断することができる。そのため、この技術をビジネスに応用するという動きも盛んになっている。例えば

「専門家しか名前を知らない画像や音声や、工場内機器の動きの認識・制御など職人芸をディープラーニングに学ばせれば、高齢化し、養成の難しい少数の専門職人に代わって、ボリュームのある認識タスクを365日、24時間、低コストで遂行できる」(「人工知能が変える仕事の未来」150頁)

のだ。しかも人工知能であれば費用はかかるが、複製可能である。また、

「コスト削減、納期短縮、特にリアルタイム化、あるいは対応できる業務容量の拡大のために、人間が画像を判別する作業の90%を置き換えられるような業務プロセスを洗い出し、シミュレーション、実証評価を実施し、目標達成に邁進することは十分可能」(「人工知能が変える仕事の未来」166頁)

だ。こうした形での活用はさらに進んでいくはずである。このコラムでも画像認識の事例を紹介しているので、今後の画像認識の発展を予測するためにもぜひ参考にしてほしい。

リアルタイムでの顔認識も可能~Amazon Rekognition、Amazon Rekognition Video

Amazon Rekognitionは画像分析と動画分析を簡単に追加できるAPIだ。これまでのアマゾンの顔分析機能や顔認識機能を使うことができるため、画像認識に対する知識が少ない人でも画像認識機能をアプリケーションに追加することができる。さらに常に学習するため、画像認識の精度は上がってくる。2017年11月のアップデートではさらに進化し、顔認証においては、何千万にのぼる顔のデータをリアルタイムで検索、さらに検索時間も短縮されている。また、1枚の写真の中から最大100人の顔を検出し、タグ付けすることも可能になっている。
こうした機能を使ったサービスはすでに実用化されている。日本では「はいチーズ」というサービスだ。これは大量にある写真の中から、自分の子供の写真だけを抽出できるサービスである。

「幼稚園や小学校に掲出される写真リストの中から選び出す面倒な作業をなくすという意味で需要があるし、また千社によると、カメラマン側にとっても、(カメラマン側の実入りから手数料が引かれるものの)幼稚園などの「取引先」に写真リストを納品したり、代金を徴収するなどの手間が一切なくなるという意味で、評判は良い」(アマゾンAWSの「AI」サービスは日本で着々とビジネス化事例をためている)

という。

また、Amazon Rekognition Videoは動画から画像分析や動画分析を行うこともできる。この機能を使えば、顧客がどのような動きをしているか、また、容疑者などの危険な人物の割り出し、不適切なコンテンツを検出するなどが可能になる。このサービスを防犯カメラなどと連動させれば、容疑者を容易に見つけることもできるだろう。他にも顧客がどのように商品を探しているのかの分析も可能になる。今後、さらに注目すべきサービスである。

密猟対策に応用~NTTコムウェアの画像認識AI 「Deeptector®」

日本の企業も人工知能の開発に乗り出しており、それは画像認識の分野でも同様である。NTTコムウェアは日本ヒューレット・パッカード社製のシステムを自社の人工知能と組み合わせて、画像認識プラットフォームを開発した。このシステムの特徴は①簡単に導入できること、②他のシステムとの連携が簡単にできること、③インストール版とクラウド版があるので、お客様のニーズに合わせてさまざまな場所で使うことができるなどがあげられる。

こうした人工知能の活用は製造業の製品検査において増加しており、そのニーズにこたえた形だ。自社で画像認識を行うことができれば、画像を社外に出す必要がないため、セキュリティー上の問題がクリアされる。さらに高速で画像処理が行われるため、製造ラインのスピードを抑える必要もない。こうした製品検査に対しても人工知能が進むようになれば、人手不足などの問題も解決できるはずである。

また画像認識システムは製造業だけでなく、監視業務にも有効だ。例えばミツイワ株式会社はドローンによる漁業密猟の監視抑止に「Deeptector」を導入した。密猟は漁業関係者の間で大きな問題となっており、この密猟を監視するにはかなりのコストがかかる。当然ではあるが、密猟は人目がないときに行われるわけだから、常に監視を怠らないようにしなければならない。また密猟者を発見したとしても、それがすぐに密猟者を逮捕することに結び付くわけではなく、逃げられたり、時には攻撃されたりすることもある。こうした課題を解決するために、ドローンと組み合わせた画像認識AI「Deeptector」は最適だ。自動で画像認識が行われ、さらに自動で関係機関に通報されるのだ。こうした動きは全国で広がっていくと思われる。

画像認識で時間短縮~Visual Recognition(Watsonの機能)

「Visual Recognition」は「Watson」の一機能であり、「Watson」は有名な人工知能である。これまで「Watson」が学習したものを利用することができ、短時間の機械学習で高い精度の画像認識を実現できる。「Watson」は多くの企業で導入されているため、画像認識機能も多くの企業で導入されている。ここでは2つの導入事例について紹介する

1. みずほフィナンシャルグループ
みずほフィナンシャルグループでは、報告書の突合せ作業に「Visual Recognition」を導入した。この機能を導入することで、

「4人2時間の作業を2人20分に短縮」(Watson事例 — 「人手でしか対応できない」と諦めていた業務も自動化できた)

されたという。確かにこうした書類の突合せ作業に画像認識機能を使えば、正確に早く行うことができるだろう。

2. オートバックス
オートバックスではお客様にタイヤの日常点検をしてもらうために、お客様自身が無料で日常的に点検できるサービスを提供した。このサービスは

「実証実験段階でも診断結果の確度は85%以上と高精度」であり、さらに「現行サービスはそこからさらに進歩し、タイヤ溝の深さ、ひび割れ、キズの有無など、タイヤ画像を摩耗の種類とレベルごとに分類」(オートバックス「かんたん タイヤ画像診断」サービス)

できるため、精度はかなり高くなっているという。

このように簡単に人工知能による画像認識が導入できるようになることで、さまざまな分野で活用できるようになると思われる。

まとめ

人工知能による画像認識の事例は今後、ますます増えてくることが予想される。これまで人が行ってきたことを人工知能に置き換えることで、24時間の作業も可能となり、さらに検品作業など、より正確に早く行うことができるのだ。こうした流れに置いて行かれないためにも、人工知能による画像認識機能でどのようなことが実現できるのか、常に見ていく必要があるだろう。


<参考>

  1. Amazon Rekognition(Amazon)
    https://aws.amazon.com/jp/rekognition/
  2. AWS、リアルタイム動画でも画像認識できる「Amazon Rekognition Video」提供開始(itmedia)
    http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1711/30/news066.html
  3. 【電子版】米AWS、リアルタイム顔認識などの新機能 クラウドで提供(日刊工業新聞)
    https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00451993
  4. アマゾンAWSの「AI」サービスは日本で着々とビジネス化事例をためている(Business Insider Japan)
    https://www.businessinsider.jp/post-100581
  5. ものづくりの現場で実用化が始まった「画像認識AI」(AI Lab)
    http://www.laboratory.ai/trend/462
  6. Visual Recognition (画像認識)(IBM)
    https://www.ibm.com/watson/jp-ja/developercloud/visual-recognition.html?S_PKG=&cm_mmc=Search_Google-_-Developer_Innovation-_-JP_JP-_-%E7%94%BB%E5%83%8F+%E8%AA%8D%E8%AD%98_Phrase_&cm_mmca1=000020VO&cm_mmca2=10004809&cm_mmca7=1009343&cm_mmca8=kwd-341914647783&cm_mmca9=b206c3e0-f1f4-42a2-acdc-27e8e3cb9fb7&cm_mmca10=251563511462&cm_mmca11=p&mkwid=b206c3e0-f1f4-42a2-acdc-27e8e3cb9fb7_949_2971
  7. Deeptector(NTTコムウェア)
    https://www.nttcom.co.jp/smartcloud/ai/deeptector/
  8. NTTコムウェア、画像認識AI環境を手軽に構築できる産業用エッジAIパッケージ(クラウドwatch)
    https://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/1089438.html
  9. ミツイワ、ドローンによる漁業密漁の監視抑止にNTTコムウェアの画像認識AI 「Deeptector®」 を採用~ 漁場におけるフィールド検証を2018年4月より開始 ~(NTTコムウェア)
    https://www.nttcom.co.jp/news/pr18032801.html
  10. Watson事例 — 「人手でしか対応できない」と諦めていた業務も自動化できた(IBM)
    https://www.ibm.com/blogs/solutions/jp-ja/watson-tcsb/
  11. オートバックス「かんたん タイヤ画像診断」サービス(IBM)
    https://www.ibm.com/jp-ja/case-studies/autobacks
  12. 『人工知能が変える仕事の未来』(野村直之著)
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