国家戦略特区での2種類の「デリバリー」サービス
物流事業は少子化による人手不足の問題を抱えており、物流倉庫内での自動化や配送システムによる自動化など人手不足を解消する方法を考えている。今回は、運転手の人手不足を解消するための配送業務の自動化実験を行っている、株式会社ディー・エヌ・エー(以下 DeNA)とヤマト運輸株式会社(以下 ヤマト運輸)の自動運転を活用した次世代物流サービスの開発を紹介する。
実証実験は、国家戦略特区である神奈川県藤沢市の鵠沼海岸、辻堂東海岸、本鵠沼のエリアにて物流の自動化実験を行っており、自動車の自動運転社会を見据えた「ロボネコヤマト」プロジェクトの実用実験(以下 プロジェクト)として、新しい受け取り方を検証するサービスを行っている。1つは「ロボネコデリバリー」であり、もう1つは「ロボネコストア」である。
実験は2017年4月1日から2018年3月31日の間で行われた。この期間の自動車の運転は原則有人による運転を行ったが、今後は無人自動運転へ向けての実験を行う予定。
ロボネコデリバリー
「ロボネコデリバリー」は、宅配便を「いつでも、どこでも受け取れる」というサービスだ。プロジェクトに参加したユーザーは、宅配便である荷物が届いたことをスマホやタブレットのアプリやパソコンで知ることができる。ユーザーは、受け取り時間を10分刻みでしてすることができ、また、受け取り場所も指定することができる。
今回のプロジェクトでは、有人によるドライバーが指定された場所へ、指定された時刻までにクルマを目的地まで移動させる。目的地に着いた荷物はドライバーが荷物をユーザーに届けるのではなく、ユーザー自身がクルマに積まれた本人宛荷物を保管BOXから取り出し引き取るもの。
ロボネコストア
「ロボネコストア」は、プロジェクトに参加している本鵠沼商店街、鵠沼海岸商店街、プチモールひがし海岸などの商店20店舗以上が参加し、インターネット上の仮想モールに商品を出店してする。ユーザーはスマホやタブレットのアプリまたはパソコンから仮想モールにて商品を購入し、商品を受け取ることができる。
商品の受け取りは、冷凍・冷蔵商品にも対応しているが「ロボネコストア」は、ユーザーが配達時間を指定することはできなく、「配達予測時間」を知ることができる。配送時間は8:00~21:00に時間帯、配達料は購入金額合計の3,000円以上は無料、以下は324円。クレジットカードにて決済する。
「ロボネコストア」も受け取る場所を指定することができ、ユーザーは自分で保管BOXを開け荷物を自分で受け取らなければならない。
DeNAの自動運転技術
DeNAは、「ロボットシャトル」プロジェクト、自動運転タクシー「タクベル」プロジェクトや、日産自動車と共同で取り組んでいる自動運転技術プロジェクト「Easy Ride」などの技術を活かし「ロボネコヤマト」プロジェクトに応用していく。
「Easy Ride」は、日産自動車が提唱する「ニッサン インテリジェントモビリティ」というコンセプトで、安全な運転を可能にすることでドライバーに自信をもたらし乗車しているすべての人に快適さを提供する「インテリジェント ドライビング」、運転の楽しさを実現しクリーンで効率の良いパワートレイン「インテリジェントパワー」、交通事故の減少や渋滞時の緩和・エネルギーの効率化などの技術「インテリジェント・インテグレーション」の3つからなる。
「Easy Ride」実証実験はすでに2018年3月5日より、神奈川県横浜市のみなとみらい地区周辺で開始され一般モニター300組が参加している。参加者は、専用のモバイルアプリにて目的地を指定すると、無人のタクシーが自動運転にて乗客を目的地まで運ぶ。
また、遠隔管制センターを設け、ユーザーに安心して乗車してもらうため、走行中の車両の位置や状態をリアルタイムで把握している。「Easy Ride」実証実験では、自動運転技術の先進技術と監視を融合させたシステムによる遠隔管制のテストも行う。
「DeNAの自動運転技術」と「ヤマト運輸のデリバリー」との物流の自動化実験は今後も続き、無人化によるデリバリーの仕組みは今後も広がっていくだろう。
<関連記事>
AI技術を駆使した自動運転
<参考>
- ロボネコヤマトプロジェクト(ヤマトホールディングス)
https://www.roboneko-yamato.com/
- ロボネコヤマト」プロジェクト(ヤマトホールディングス)
https://www.youtube.com/watch?v=KmT_DJgM1Z8&feature=youtu.be
- Easy Ride
https://easy-ride.com/ - 日産自動車とDeNA、無人運転車両を活用した交通サービス 「Easy Ride」の実証実験を開始(DeNA)
https://dena.com/jp/press/2018/02/23/1/
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