近年では、業務改革のために人工知能の導入を迫られ、未経験で人工知能(AI)プロジェクト担当に任命されるケースが増えています。そういったタイミングでさまざまなAI講座を受けられていると推察されるが、AI技術を習得する上で重要なことは『人を知る』ことであるのをご存知だろうか。
今回は、【『人を知る』人工知能講座 〜「人を知るための」・「人を知ることによってできる」人工知能〜】を主催する京大オリジナル株式会社の川村健太氏(写真右側)にインタビューを行った。
京大オリジナル株式会社について教えてください。
川村氏)京大オリジナル株式会社は、京都大学の100%子会社です。(京都大学は指定国立大学法人に指定されており、指定を受けた大学法人は、大学内の研究成果を活用して事業を行う者への出資が認められる。)
産学連携のためコンサルティング事業や研修事業を行っており、京都大学の知識を幅広く広めていくために活動している企業となっています。
京大オリジナルが主催する「『人を知る』人工知能講座」の開催のきっかけは、AIに関してノウハウや知識を持った人を育成して、AIを使いこなしていくための人材を世の中に増やしていきたいという京都大学教員の意思だったそうです。
『人を知る』ことで得られる人工知能の知識とは?
川村氏)『人を知る』ということには二つの意味があります。一つは人を知ることでより人間が使うことに適したAIを開発すること繋げるという意味。もう一つはAIを用いてよりよく「人を知る」、すなわちその知的情報処理過程を理解することにつなげるという意味を込めています。
人の生活を豊かにするために、人の意図や状態を理解し、状況を見据えた判断を行うAIが必須となっています。そのようなAIを開発するためには、人を知り、モデリングし、AI化できる人材が必要です。また、人を知ることで、AIをどう活用することができ、どのような効果を期待することができるか、またどのような手法を用いるべきかを考える力を身につけることができ、より良い人工知能を生み出すことができます。
人の代わりとなる機械を開発するというAIプロジェクトにおいて、まずは人がどう考えているか、ということを学ぶことが、プロジェクトを成功させる上で重要なことだと言えます。
『人を知る』人工知能講座とは?
川村氏)この講座では、京都大学大学院情報学研究科知能情報学専攻の教員に寄る最先端の研究成果も含めた座学と実践的演習を通し、「人を知る」人工知能研究のテーマに基づいた多面的かつ広い視野を持った人工知能の基盤技術の習得を目指します。
(https://www.kyodai-original.co.jp/jinkouchinou/about.html から一部抜粋)
下記の3つの特徴を持った講座となります。
最先端研究に従事する教員が直接指導します
講師は、画像メディアや音声メディア、言語メディア、知能計算、集合知システム、脳情報学、心理情報学の7つの研究分野を専門としている7名の教員が担当します。画像、音声、言語など幅広いAI技術において、『人を知る』ことで得られる最先端の理論を学ぶことができます。
理論のみに偏らず、実践の組み合わせ(座学と演習)で構成されます。
また理論だけでなく、Pythonなどを用いたクラウド上での開発演習を行うこともでき、実践的な技術を身につけることもできます。また、講習後には懇親会もあり、気になる点は直接先生方に伺うこともできると思います。
短期間で集中して受講ができます。
大学での学習では時間がかかる内容が、一気に具体的に手を動かしながら短期間に集中して受講することができます。
講座の対象者について教えてください。
7つの研究分野がそれぞれ各セッションに分かれており、およそ半年間で7セッション開催されます。(1セッションあたり4日間の開催を予定)
画像メディアや音声メディア、言語メディアの3セッションでは、Pythonを用いて画像認識や、感情分析、文章翻訳、文章要約など応用システムについて具体的に実装しながら講義を進めます。
知能計算、集合知システムの2セッションでは、Pythonを用いてデータ構造の理解や最適化問題の解決手法などを、理論と実践を交えて習得を目指します。
これら5つのセッションの前提知識として、Pythonの基礎知識や大学初等で学ぶ程度の数学の知識が必要であり、実際にAIの開発を担当される方が対象となっています。
一方で、脳情報学、心理情報学の2セッションでは、AI技術の基盤となる人間の基本的な性質を学ぶことで、AI活用の応用力や判断力の習得を目指します。心理情報学においては、前提知識は必要なく、自社内でAI活用をしていかなければならない方全般が対象となっています。
また、7つのセッションは一括ではなく、別々に受講することができます。例えば、自社内でAI開発は行わないが、活用方法の検討や開発のコントロールをする必要があるという方は、心理情報学のみを受講して理論や活用方法のみを学ぶといったように、必要な知識を選択して受講することができます。
まとめ
業務改革の推進という背景がある中、AI人材の確保はどの企業でも必要なこととなっている。また、AIを知り、AIを作れる人の価値が上がっていることも確か。そのため、社内でAI人材を育成する必要性が高まっている。
直近およそ20年間で様々なシステムが多くの企業に導入されてきたように、今後はAIが当たり前のように導入される時代が来ることが想定さる。一方で、大学教員の講座の価値も同時に高まっていくため、このような講座は今のうちしかないチャンスかもしれない。
AIを開発するために必要なスキルは、数多くある。その中でも、『人を知る』ことは、最先端の人工知能技術において、理論だけでなくビジネスに応用する能力を身につけることができるテーマだと感じる。自身が必要なスキルを考え、様々なAI講座から選択していく必要がありそうだ。
「人を知る」人工知能講座 情報
京大オリジナル社は京都大学情報学研究科知能情報学専攻との共同主催で、人工知能の最先端の研究成果も含めた座学と実践的な演習により、人工知能の基盤技術と基礎理論を学ぶことのできる全7分野に渡る技術者向けの講座を開催し、受講者の募集を開始しました。
「人を知る」人工知能というテーマのもと、機械学習や数理倫理学といった理論基盤、画像・音声・言語などの情報処理、そして脳活動や心理情報学といった脳認知科学まで、人工知能にまつわる多面的な講座をご提供いたします。人工知能技術で、新たな切り口を得る機会として、ぜひご活用ください。
■日程:2019年9月~2020年3月 各4日間 9:30-18:00
<2019年>
9月 画像メディア(西野恒教授)
10月 音声メディア(河原達也教授)
11月 言語メディア(黒橋禎夫教授)
12月 知能計算(山本章博教授)
<2020年>
1月 集合知システム(鹿島久嗣教授)
2月 脳情報学(神谷之康教授)
3月 心理情報学(熊田孝恒教授)
■場所:京都アカデミアフォーラム in 丸の内
(新丸の内ビルディング10階 東京駅直結)
■受講料:50万円(税込)/ 1 セッション
(7セッション一括 280万円(税込))
■申込締切:
第1次 2019年8月22日(木)
■主催:京都大学大学院情報学研究科知能情報学専攻
京大オリジナル株式会社
■詳細・申込:
https://www.kyodai-original.co.jp/jinkouchinou/
■問合せ:
京大オリジナル株式会社 研修・講習事業部
電話:075-753-7778
Email: kensyu@kyodai-original.co.jp
■詳細はこちら
https://www.kyodai-original.co.jp/jinkouchinou/
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