栽培管理におけるの人工知能の活用事例 〜海外編〜

AIの活用には様々事例がある。今回は農業分野で進むAI活用について海外の事例を取り上げる。

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 21世紀の農業はAIの活用によってより進化を遂げる。AIによって実現できることは生産性の向上やコストの低減だけではない。

農業は人々の「食」に関係する分野であり、人口増加や気象の変動などにより安全性を確保していかなければならない。そんな食の安全性にもAIは非常に有効に活用できる。今回は海外のAI技術の活用に目を向け、事例を取り上げていく。

AI_農業

作物の健康状態を画像からAIが解析するPlantVillage

「PlantVillage」はペンシルヴェニア大学の生物学者デヴィッド・ヒューズ准教授と疫学者マーセル・サラス准教授が開発したアプリケーションである。

 二人はこれまでに26種の病気に感染した14種の作物を使ってコンピューターが作物の健康な葉とそうでない葉に分類しAIのディープラーニングを活用しコンピューター独自が判別できるようにした。その結果新たな対象に対して99.35%の精度で識別することを可能にした。しかし同一の試験環境での実績でしかなく、投稿画像やインターネット画像などに対しては、その精度は約30~40%に下がってしまっていた。

彼らはPlantVillageのアプリケーション開発によってもAIを活用し、さらに制度を向上させていく考えだ。PlantVillageは、世界中の農民たちが病気にかかった作物の写真をアップロードし、専門家が診断を行っている。特化型のAIの場合、AIにも先生がいる。いわば良し悪しを判断する手助けが必要である。ディープラーニングの実力は、そのデータを学習し続けることである。優秀な専門家による判別結果を反復的に学習し続けることで、正確な判別精度を身につけることになる。ディープラーニングの得意分野は画像認識でもある。

将来はAIの助けによって、病気の原因を素早く、正確に特定できるようになるだろう。データ量が多ければ多いほど学習する材料が充実し、精度の向上が期待できる。そのことから病気の原因を見誤まり、誤った対処法のためムダに費やす時間的、コストが省けることになる。

今回開発している「PlantVillage」AIの活用分野に置いて優位性を発揮できる分野だ。また世界各地の農業地域へ普及していくであろう。

ドローンでAIが農場の状態を解析するPrecision Hawk

Precision Hawkはカナダの農業向けドローンを開発するベンチャー企業である。

人工知能の技術を搭載したドローンにより農場を管理する。言わば農場解析AIドローン。

驚くのはドローン自体が自動飛行するということ。飛行前に「フライトプランナー」にて飛行条件の設定、飛行経路確認を行う。そしてドローンを農場に飛ばす行為以外はしなくて良い。それだけでドローンは自動飛行し、データを集積し戻ってくる。機体には、高感度カメラ、マルチスペクトルカメラ、サーマルカメラなど用途に応じてカスタマイズされたセンサーによって、その日の農場の詳細なデータが蓄積される。飛行結果は数分で確認でき、データをPrecision Hawk社サーバーにアップデートした後、解析を実施してもらい結果を受け取る。

設立したアーネスト・イーロンは宇宙開発ロボティクスの博士号を持っている。飛行中のドローンにも安全性を確保する仕組みを取りこんでいる。飛行中のバッテリー残量や天候、風速、機体の損傷、内部装置の状況などモニタリングを行えるというものだ。この技術を活用することができれば農業だけではなく、違うジャンルにもモニタリング・解析技術の活用が行えそうだ。

AIセンサーで農家の手助けをするProspera

Prospera Technologiesはイスラエル発のベンチャー企業である。

イスラエルは人口800万人と小さい国ながら、近年IT分野に置いて急成長している国であり、世界屈指の技術大国になった国である。googleやMicrosoft、Intelなど大手企業が支社を設置しているほど国家として注目度も高いことから第二のシリコンバレーと称されることもある。

Plospera Technologiesは2014年にDaniel Koppel、Raviv Itzhaky、Shimon Shpizの三人によって共同で設立した企業である。スマート農業ツールを提供する同会社は700万ドルの資金調達に成功。この資金を活用し世界中のより多くの農家に対してAI技術を活用し、農業を管理するシステムを提供する。

農場に設置されたカメラとセンサーが気温や湿度、作物の病気や害虫の状態を検出し、農作物をリアルタイムで分析できるというものだ。このソリューションは農家で抱える問題(害虫、作物の病気、栄養、農作環境)解決のお助け役となる。

またディープラーニング技術によりどれくらい水を与えるかなど、栽培においても効率化や品質の確保といった面でも管理できる。

ProsperaのCEO・創業者であるDaniel Koppelは、「農業分野は、実践的な人工知能を活用するにはすばらしい候補です。Prospera は、技術によって世界の農家が抱える問題を解決することで農業をより知的かつ効率的にすることを目指しています。」と語っている。

すでに欧州、北米、イスラエルの中から大規模のグリーンハウス農家で活用されている他、欧州と米国の最大規模のスーパーのいくつかに卸している農場に使われている。新生IT大国が生み出すAI技術を活用した農業管理システムの普及スピードの圧倒的に早いだろう。

まとめ

 AIを活用したデータ解析や画像判別は農業の分野に置いても有効な手段になると言える。人材の労働力を抑制し効率的に生産性やコスト削減を行うことができる。それに加え、AI技術による正確な安全性を担保することで人々の生活により安心な暮らしを与えることになる。AIは農業分野では非常に重要な役割を担っていくだろう。

近年問題視されている環境問題にも統計データから人間より早く正確に対応できることもメリットだ。この分野だけでなく他分野に置いても優位性を発揮していくであろう。


<参考>

  1. 人工知能とレタス:食糧危機から人類を救うのはAIかもしれない(Wired)https://wired.jp/2016/06/16/future-humanitys-food-supply/
  2. 人工知能を開発するスタートアップ「Precision Hawk」はデータ解析にも注力!! (Drone Blog)
    https://www.borg.media/precision-hawk-how-it-works/
  3. 宇宙ロボット開発者がつくった、農場を解析するAIドローン(Wired)
    https://wired.jp/2013/07/14/vol8-precision-hawk/
  4. イスラエル発、人工知能を活用した農業システム Prospera が700万ドルを調達(The Bridge)
    http://thebridge.jp/2016/07/prospera-raises-7-million-for-a-i-based-farming