Google検索で自分が欲しい情報がすぐに出てくるのは、あなたの検索技術が優れているからではない。AIがあなたの欲しい情報を表示しているからだ。このコラムではGoogle検索においてAIはどのように使われているか、そのメリットは何か、今後AIを取り入れた検索技術はどうなっていくのか説明する。
続きを読むAIは検索に与えるメリットとは
AIを検索に導入していると聞いても、これまでの検索と何が変わるのか理解できないのが一般的だろう。ここではAIを検索に活用することでどのようなメリットがあるのか説明する。
1.あいまいな言葉で検索してもあなたが求める情報を表示できる
検索をする際になかなか適切な言葉が思い浮かばないことはある。例えば俳優の名前を忘れてしまったとき、その出演作品や見た目の特徴、出演作品での役名などで検索するはずだ。そうした検索語の組み合わせで検索する人が多いと分かっていれば、適切な検索結果を上位に表示することができるようになるのだ。
またそうした検索履歴をデータとして持って入れば、類似の言葉も瞬時に判断し、あなたが欲しいと望んでいる情報を上位に表示できるのである。こうした技術はあなたが望む情報を上位に表示しているのである。
2.AIが学習する
AIは学習する。いわゆる深層学習を行うことができる。データからより最適な検索結果を導き出し、ユーザーに表示する。検索は日々行われているのだから、データはどんどん溜まっていく。それを学習することで、より正確な検索結果を表示できるようになるのだ。
AIを利用することで、検索クエリごとにアルゴリズムを変えることもできるため、検索結果も望ましいものになってくる。さらにこれまでのようにいきなり大きな順位変動が起こるのではなく、徐々に順位が変わっていくという。AIの発展だけでなく、コンピュータの性能が飛躍的に上がったことで、ディープラーニングも可能になったのである。
3.人間が行う仕事が減る
これまでは検索アルゴリズムは手動で変更してきた。そのため順位の変動も大きかった。しかし、今はAIが徐々にアルゴリズムを修正して検索結果を表示している。結果として人間がする仕事は減り、別の仕事に人材を割くことができる。こうした人とAIの役割分担は非常に重要になるだろう。
Google検索でAIはどのように使われているのか
Google検索においてAIが活用されており、そこにメリットがあることは分かっても、実際にどのように使われているのか分からない人も多いだろう。ここではGoogle検索に使われる3つの検索技術であるセマティック検索、エンティティ検索、RankBrainについて説明する。
1.セマティック検索
セマンティック検索とはその検索語の意味を解析して、最適な検索結果を表示する仕組みだ。その際には類義語の検索結果も含めることになる。例えば「青い服が好きな俳優を探したい」時に、「青い服 俳優 好き」と検索する。その結果、「青 俳優 好き」や「青服 俳優 好き」などでも上位に表示される。また意味も判断しているため、意味がかけ離れている場合、例えば「俳優のオーディションではシンプルな服装が好まれ、青や緑の髪や派手な服装は避けるべきだ」と書かれていれば、検索語は入っていても下位に表示されることになる。こうした検索技術にAIを活用することで、より正確な検索結果が表示できるようになるのである。
2.エンティティ検索
エンティティとはある関心物に対するデータをまとめ、ラベル付けを行い、分類、構造化することで検索ができるようにする仕組みだ。例えばドラえもんを例にとれば、のび太やジャイアン、スネ夫、しずかちゃんなどドラえもんに関わるキャラクターは階層化されている。そのため「ドラえもんが住んでいる家はどこ」と検索すると、ドラえもんとのび太が住んでいる家がどのあたりにあるのかの検索結果が表示されるのだ。
エンティティ検索にAIを活用することで、毎日行われる膨大な量のデータをエンティティとして階層化することが可能となるのだ。そしてより適切な検索結果が表示されるのである。
3.RankBrain
RankBrainは2015年に導入されたAIを使った検索技術である。こちらの技術を取り入れたことで、あいまいな情報から検索結果を表示することが可能になった。例えば「関西 お笑い 大御所」と検索すると上沼恵美子さんが出てくるという仕組みだ。人工知能を使うことで、検索者が知りたい情報がより正確に表示されるようになったのだ。
実際、検索される言葉の約15%が検索エンジンにとって全く新しい言葉だという。そのままでは正確な検索結果を出すことはできないが、それを検索エンジンが理解できるベクターという数値に変化して、その数値に近い言葉を選んでいるという。
また検索順位も自動で行うことが可能になったことで、リアルタイムで検索結果が変化するようになったのである。これは前述したように、人間が行う作業が減ることを意味し、さらにより正確な情報を提供できるようになったのである。
未来ではAI(人工知能)技術を取り入れた検索はどうなるのか
現在、AIを導入しているgoogleであるが、将来検索はどのような方向へと向かっていくのであろうか。ここではgoogle検索の未来について説明する。
1.人間のアルゴリズム以上の結果を出す
現在の段階で、エンジニアが70%の適切な検索結果を表示するのに対し、AIは80%の適切な検索結果を表示するという。すでにこの程度の差が出ているので、今後はますます差が出てくるだろう。そのため積極的にgoogle検索にAIを導入する動きはさかんになってくるはずである。
2.検索結果がグーグルの手を離れる可能性がある
前述したようにAIが優れた検索結果を表示するのであれば、すべてをAIに置き換えるべきだという話が出てくるのは当然だ。しかし、実際にはそんなに単純ではない。Google検索に関する権限をすべてAIに渡してしまうと、人が制御できなくなるのだ。例えば有害なコンテンツが上位に表示されている場合、どのような仕組みでそれが表示されているのか分からない。こうした時代が起こる可能性は十分に考えられるだろう。そのため、全てをAIに任せるのではなく、人の手をどこまで残すかが問題になってくるはずである。
3.写真での検索がさかんに~「googleレンズ」
「googleレンズ」というサービスをご存じだろうか。これは画像認識を生かした検索技術のことで、スマホで写真をとって検索できるのだ。例えば花の写真をとってその花の名前を調べる、英語の文字を写真でとってその英語を翻訳するなども可能になる。こうした検索技術を活用していけば、洋服の名前が分からなくても、同じ洋服を検索して見つけることができるようになるだろう。
4.音声検索が増えてくる
Googleの音声検索と言えば「google home」であるが、音声検索に関しては出遅れていると言われている。しかし、今後、音声検索の割合は増えていくと言われており、googleもこの市場に積極的に参入するであろうと言われている。音声によって検索し、音声によって検索結果が知らされることになると、上位に出ている検索結果以外はほとんど意味をなさないということになる。なぜなら何ページも音声で検索結果を読み上げることはないからだ。もちろん、検索は音声で検索結果はパソコンやスマホで見るということは可能であるが、将来的にはすべて音声になるだろう。
まとめ
これまでAIをGoogle検索に導入するメリットと実際の使われ方、さらに将来どのようになるかまで説明してきた。AI技術をGoogle検索に取り入れることで、検索者が検索したい情報がより正確に表示されるようになるだろう。今後もさらに精度が増し、画像や音声でも簡単に検索できる時代が来そうである。いや、もうすでに来ていると言えるかもしれない。
<参考>
- AI×アルゴリズムで進化したGoogle検索のスゴイところ3つ(エーアイジン)
https://aizine.ai/ai-algorithm0830/ - AI(人工知能)が検索を変える!その未来を先読みしてみた!(エーアイジン)
https://aizine.ai/search-0115/#toc5 - いま、人工知能は「Google検索」を大きく変えようとしている(WIRED)
https://wired.jp/2016/03/13/ai-is-transforming-google-search/ - 【1分でわかる!】AIの利用でGoogleが変化。最近のSEO対策 事情(SEOラボ)
https://seolaboratory.jp/61981/ - セマンティック検索とは(SEO HACKS)
https://www.seohacks.net/basic/terms/semantic-search/ - GoogleのAI検索エンジン 最新のRankBrainとは?(SEO対策NET)
http://www.seo-taisaku.net/ai/ - エンティティ検索(ZEROラボ)
http://zero-s.jp/labo/web%E7%94%A8%E8%AA%9E%E9%9B%86/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%86%E3%82%A3%E6%A4%9C%E7%B4%A2/ - AI世代の検索エンジンについていくための「セマンティック検索」「エンティティ」基礎入門 (前編)(impress)
https://webtan.impress.co.jp/e/2017/02/27/25107 - Google、検索アルゴリズムにAI(人工知能)「RankBrain」のシグナルを採用(ITmedia)
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1510/27/news076.html - 今後、検索の50%は音声にシフトする。その時に考えなければいけないこととは?(ロボスタ)
https://robotstart.info/2017/08/15/voice-search-engine-optimization-seo.html
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