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法律分野でのAI活用事例 〜海外編〜

AIが人間の様々な仕事に取って代わる可能性やアドバンテージなどいくつかの事例を紹介しつつ、リーガルにおいて、弁護士の補佐的な役割としての有用性について見ていく。

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AIはリーガルワークへ

今現在人間が行っている仕事の数多くが AIの仕事に置き換わろうとしているのはよく耳にすることではないだろうか。仕事の人間から AI への置換はブルーカラーワークからホワイトカラーワークまで進もうとしている。むしろブルーカラーホワイトカラーといった理由で AI の進出する分野は語れないのではないだろうか。

AIの得意とすることは、もしくは人間から AIへと仕事が移り変わっていく働き方の形態というのはルーチンワークにあるように思う。同じ作業の繰り返しであるブルーカラーの仕事であっても様々な応用を必要とする仕事は生き残り、ホワイトカラーの仕事でも、作業の繰り返しではない、主体性をもってする仕事は生き残る。

しかしAIは人間にとってはなかなか理解が難しい分野かつ複雑で高度な分野であるリーガルワークへも切り込もうとしている。

電卓が人間の計算能力を超えるように、もしくはコンピューターが人間の処理能力をはるかに超えるように、法律分野においても AI に委ねた方がより効率的に作業ができるという場合もあるようだ。

しかし果たして正確な判断をするこが難しいリーガルの分野において AI は人間の代わりを務めることができるのであろうか 。そう考えてしまうとある種のどつぼにはまっているかもしれない。AI は人間ではないが故に客観的な事例の捉え方やデータの分析が可能である。

法律分野のAI活用

AIのアドバンテージ

AI のアドバンテージを考えるとすると 人間と比べて感情に流されないジャッジが可能であるということだ、特に AI のリーガル分野におけるアドバンテージとなるのは主に以下の4点が挙げられる。

1点目は大量の過去の判例などのデータから必要なデータを抽出し分析することである。人間と比べてより正確に素早く行うことができるデータによると弁護士が90分近くかけて行う作業を数十秒で行うことができると言うから驚愕である。AI による機械学習の進歩によりデータの分析という点では AI が既に人間の能力を凌駕しているようだ。もちろんデータの処理能力も AI が人間を凌駕している。

2点目の強みとしてあるのはより客観的にデータを分析すること。またより客観的に判断を下すことが可能ということだ。 人間ではどうしても主観が入ってしまう判断をそれこそを機械的に 客観的な立場で下すことができる。人間ではどう機械的になろうとしてもいかに論理的になろうとしても、人間であるが故に感情が入り込んでしまうことがある。AI は完全に感情を排除し、完全にロジカルに状況を把握することができる。

3点目はコストの削減である。通常弁護士費用というのは莫大な金額がかかるが、例えば簡易的なケースに AI の弁護士を適用することによりコストを軽減することができる。例えば 簡易裁判のような大規模でない裁判において AI 弁護士を利用すれば費用を軽減できる。弁護士の利用が現在において金銭の力を持ってしないとなかなか難しい現状を考えるとこれはリーガルにおける平等を促進できると言えるであろう。

4点目は典型的な裁判例にとても強いということだ 。過去の例の分析能力がとても優れている AI は 典型的によく発生する裁判において過去の例と瞬時に照らし合わせて適切な判断が下せる。人間の経験というのは非常に役に立つものであるが、AI における経験というのは過去の例過去のデータというものに当てはまるであろう。AI の弁護士は過去に自らが経験したことのない事例でさえデータから適切な情報を抜き出し裁判を進めることができる。

AI のリーガルへの導入例

では実際に現在のリーガル活動において AI が既に活躍している事例を取り上げよう。

AIスタートアップ

米国サンフランシスコを拠点とするAIカンパニー Legal Robot はリーガル分野におけるサービスを提供している。複雑な法律文章の即席エラーチェックやの契約文書の公平性やリスクの チェック機能である。契約文章というのは我々にとっても人生において何度も結ぶこととなるであろうものだ。しかしその文章を見てそれが正確で公平なものなどうかというのは素人目では判断が少し難しい。

しかし明らかな論理的なエラーやどちらか一方にとって有利な不平等な契約となっていないかを文書の構造読み取りチェックすることが できる。さらに複雑なリーガル文書を数値的に解釈し分析する。何千ものリーガルな文言で書かれた書類を 解析し比較する。AI の力でリーガルな作業を完全に人の手から置き換えよう としている。

これまで人の手でとても膨大な時間のかかる作業をだったものがコンピュータ技術によって正確かつ迅速に処理されていくのだ。

eBrevia 社は大量の紙の書類をデジタルのデータとして再認識し機械学習(ディープラーニング)によって解析を行いまとめるというサービスを共同で開発している。紙の書類が大量と必要となっている今までの法務的な作業にとって紙の情報で管理していたものをコンピューターで管理できるようになればかなりの効率化が見込まれる。

アナログ媒体での情報をデジタルの情報に変換し AI で管理するというのは 昨今の AI 及び機械学習(ディープラーニング)の 主な流れだ。

ドイツの研究機関である LEVERTON  はクラウドベースのシステムを活用し 20もの言語で賃貸契約などの契約書を 読み取りさらに管理することを可能とした。

何も AI は 時間と場所にとらわれる必要がないからクラウド上にデータを上げて委託をすれば 専門の AI により管理を任せることが可能となる。

リーガルのパートナー AIアシスタント

AI は様々な職種に進出しているがリーガル分野においては今のところ補佐的な役割に止まっているようだ。しかし、補佐的な役割はほぼ完全にAIに置き換わると言っても過言ではない。
むしろリーガルな分野において AIは補佐という面で人間より優れた働きを見せる。
主体となってリーガル案件を さばく弁護士にとってAI はまさに 非常に役に立つツールでありパートナーとなるかもしれない。


<参考>

  1. Study: Artificial intelligence outperforms top lawyers (ISRAEL21c)
    https://www.israel21c.org/study-artificial-intelligence-outperforms-top-lawyers
  2. AI in Law and Legal Practice – A Comprehensive View of 35 Current Applications (TECHEMERGENCE)
    https://www.techemergence.com/ai-in-law-legal-practice-current-applications/
  3. Understanding the New Language of Legal Technology (Law Technology Today)
    http://www.lawtechnologytoday.org/2018/01/the-new-language-of-legal-technology/
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