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AIの研究に強いアメリカの大学はこの2つ

AIは難しい学問であり新しい産業である。大学は難しいことを解決するのが得意であるし、新産業の創造の手伝いもする。今回はアメリカでAIの研究に力を入れる大学を紹介していく。

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AIは難しい学問であり新しい産業である。大学は難しいことを解決するのが得意であるし、新産業の創造の手伝いもする。それでAIでは大学が活躍することが多い。今回はアメリカのAIに強い大学を紹介する。

カーネギーメロン大学とマサチューセッツ工科大学である。

AI研究_大学

カーネギーメロン大学

アメリカのAI大学といえば、多くの日本人はマサチューセッツ工科大学を思い浮かべるのではないだろうか。それは正しいのだが、ここでは2番目に紹介することにした。

最初に紹介するのはカーネギーメロン大学である。

なぜか。それはアメリカのコンピュータ・サイエンス・ランキングという大学の格付けランキングで、同大学が世界1位に輝いたからである。

このランキングは、アメリカ・サンフランシスコの企業が全世界の大学を評価しているもので、教授陣、教育施設、論文数などでジャッジする。

鉄鋼王が設立

カーネギーメロン大学はペンシルバニア州ピッツバーグにあるアメリカの名門私立大学である。その名のとおり、アメリカの鉄鋼王カーネギーが1900年に設立した。

日本にもカーネギーメロン大学日本校ができたが、廃止されている。

ソニーと一緒に「お母さんロボット」を開発

カーネギーメロン大学のAI関連ニュースといえば、ソニーと同大学が2018年4月、AIとロボット技術の共同研究開発契約を結んだことだろう。

研究開発の「実働部隊」になるのは、ソニー側は同社のアメリカ子会社ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカで、カーネギーメロン大学側は計算機科学部となる。ソニーは本社の執行役員を送り込む力の入れようだ。

両者が研究開発するのは家庭用ロボットだ。一般家庭の住宅内で料理をつくったり、物を運んだりできるようにする。

例えば調理では、AIロボットにメニューを考えさせたり、料理の段取りを計画させたりする。また動作面でも、軟らかい食材を壊さずに加工させる技術や、出来た料理を皿に盛り付ける美的センスも育成する。

ソニーとカーネギーメロン大学の目標は、AIとロボット技術を未来の社会基盤にすることだ。そこであえてAIにもロボットにもなじみが薄い家庭を選んだというわけだ。

ただ家庭用ロボットといっても「お母さんロボ」のような2足歩行ロボットを想定しているわけではない。基本はアーム型ロボットだ。ソニーには犬型ロボットのアイボの開発で蓄積した関節の動きや駆動や制御の知見があるので、それを投入する。

5年で実用化へ。実社会に役立つAIをつくる

今回のプロジェクトで注目できるのは、単なる研究開発ではなく、5年以内に実用化させることだ。

ここにカーネギーメロン大学の今回の狙いがある。大学はあくまで研究機関なので、研究開発したものを実用化させることが苦手である場合がある。しかし世界を代表する製造業であるソニーと組めば、開発したものが商品化され、研究成果を短期間で社会還元できる可能性が出てくる。

カーネギーメロン大学の計算機科学部、アンドリュー・ムーア学部長は、今回のソニーとの共同研究の意義について次のように述べている。

料理と荷物搬送というチャレンジングな事業に参画できる

ロボットというハードウェアとAIというソフトウェアを同時に探索することができる

両者の共同開発の成果はロボット技術に強い影響を与えるだろう

この言葉からはカーネギーメロン大学が「象牙の塔」に閉じこもるのではなく、実社会に影響を与える存在になろうという意気込みが感じられる。

マサチューセッツ工科大学

「カーネギーメロン大学がソニーと提携しても、うちはIBMとタッグを組んでいるから問題ない」ということもないのだろうが、理系大学の世界最高峰、マサチューセッツ工科大学は2017年、IBMと共同でAIラボを開設すると発表した。

IBMと一緒にAIヘルスケア開発とAIの社会的影響を研究する

両者は2017年から2027年までの10年間に約272億円を投資して「ヘルスケア」「セキュリティ」「AIの社会的影響」「AIの経済的影響」の研究を行う。

両者が見据えるのは2030年代に到来すると考えられているシンギュラリティ(技術的特異点)とされている。シンギュラリティは、AIが人類の知恵を超えて発展する状況のことである。

シンギュラリティについては、「夢の世界」を描く人だけでなく、AIに人類が支配される状況を危惧する人も多い。

ここが、マサチューセッツ工科大学とIBMによるAIラボの「AIが与える社会的影響と経済的影響の研究」の肝となる。この重要課題の解決には、学問(マサチューセッツ工科大学)とビジネス(IBM)の連携は不可欠といえる。

人類とAIの英知を探る

マサチューセッツ工科大学のもうひとつのAI関連トピックスとして「インテリジェンス・クエスト」を紹介する。

「人類」と「AIを含む機械」の知見や英知や知識(インテリジェンス)を探求(クエスト)するというスローガンである。

マサチューセッツ工科大学のすべての学部は、このインテリジェンス・クエストにそった研究開発をしていくことになる。

同大学の教授たちはインテリジェンス・クエストという目標について、次のようにコメントしている。

人間の知能をリバース・エンジニアリングする試みである

赤ちゃんが学習するように学習する機械をつくる

リバース・エンジニアリングとはIT用語で、「完成しているソフトウェアやハードウェアを分析、調査すること」である。人間の知能をリバース・エンジニアリングするとは、これまでの人類の英知を今一度分析、調査することであり、それはシンギュラリティ対策に通じる考えといえるだろう。

マサチューセッツ工科大学といえば、ノーベル賞受賞者が「ごろごろ」している大学だ。同大学にはAI、工学、医学、神経科学、認知科学などの分野で世界最高レベルの研究者たちが約200人いるとされる。

それだけの人がインテリジェンス・クエストに一斉に取り組めば、とてつもない創造物が出来上がるに違いない。

まとめ~アメリカの大学に学ぶ

IBMはアメリカの企業なのでアメリカの大学と連携するのは自然な流れだ。しかし日本のソニーは日本の大学ではなく、アメリカのカーネギーメロン大学を選んだ。

日本の大学のAIレベルが水準に達していないのか、日本特有のアカデミックな壁のせいなのかは不明だが、いずれにしてもソニーは日本の大学を選ばなかった。

残念な気持ちもあるが、ただ日本の企業がAI先進国のアメリカからノウハウを学ぶことは素直に応援したい。


<参考>

  1. Computer Science Rankings(Emery Berger)
    http://csrankings.org/#/fromyear/2017/toyear/2017/index?all&world
  2. ソニーと米国カーネギーメロン大学、AIとロボティクスに関する研究開発契約を締結(ソニー)
    https://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/201804/18-034/
  3. ソニー、家庭ロボ 米大と共同開発(日本経済新聞)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29557270Y8A410C1TJ1000/
  4. 10年後にAIはどう変わる――MITとIBMがAIラボを新設(IBM)
    https://www.ibm.com/think/jp-ja/watson/pressrelease/mit/
  5. Forging connections between human and machine intelligence research, its applications, and its bearing on society(The MIT Intelligence Quest)
    https://intelligencequest.mit.edu/
  6. MITがAI研究に全力、学部横断で新技術開発へ(MIT Technology Review)https://www.technologyreview.jp/nl/mit-wants-to-build-an-ai-thats-as-smart-as-a-child/
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