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AIを駆使した海外アプリ紹介【必読5選】

海外まで視野を広げると、我々は多種多様なAIアプリを目にする。AIアプリを提供するのも、ITの巨人から大学発ベンチャーまでさまざまだ。

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スマートフォンやタブレットで提供されるアプリは、国内よりもむしろ海外でリリースされることが多い。AIを駆使したアプリも、例外ではない。AIを活用できるクラウドを提供する大企業から、大学発のベンチャー企業まで、アプリを提供する側の範囲も幅広い。

今回はAIを使うアプリのなかで、ユニークな海外アプリを5つ紹介する。

AI(人工知能)-アプリ

Seeing AI

Microsoft Windowsを使用する人ならご存知かもしれないが、マイクロソフトはIT技術を用いた障害者対策に積極的だ。そのマイクロソフトが視覚障害者用に開発したアプリが、ヒトの目の代わりとなるアプリ「Seeing AI」である。

AIクラウドを手掛けるマイクロソフト

Amazonが提供するAWS(Amazon Web Services)や、GoogleによるGoogle Cloud Platformなど、AIを扱えるクラウドコンピュータが数多く存在する。マイクロソフトが提供するクラウド環境が、Azureである。Azureはさまざまなサービスを提供するが、そのうちAIを活用したサービスが、Microsoft Cognitive Servicesだ。AIの代表格であるディープラーニング(深層学習)用のフレームワークであるMicrosoft Cognitive Toolkitを活用し、Microsoft Cognitive Servicesは音声認識等のサービスを提供する。

Microsoft Cognitive Servicesが提供するサービスは大きく、視覚認識、音声認識、言語理解、知識、検索の5つに分けられる。視覚認識に限ると、画像から文字を読み取るComputer Vision、コンテンツを監視するContent Moderator、顔検出を行なうFace、喜怒哀楽といった感情を認識するEmotion、動きを検出するVideo等のサービスが提供される。

マイクロソフトの豊富なAI資源を活用したSeeing AI

Seeing AIは、スマートフォンで映し出した内容をメッセージとして読み上げるアプリだ。たとえば東京タワーの写真を撮影すると、Seeing AIが「タワー」と認識する。この例からも示唆されるように、個体判別は難しいものの、撮影された物体がどのような種類であるかの認識は可能なようだ。

Seeing AIは2017年12月に、貨幣や色彩認識、明るさ検知を音で知らせる「Musical light detector」を追加し、障害者にやさしい機能をさらに追加した。なお現状では、iOS用のみSeeing AIが提供されている。

Elsa Speak

米トランプ大統領がアクセントのある日本人記者に対し、「(あなたの英語では)何を言っているのかわからない」と発言したのを覚えている人もいるかもしれない。英語のスピーキングを練習しても、英語圏の国ではアクセントに訛りがあるため、ネイティブに伝わらないこともしばしば生じる。

Elsa Speakは、英語のアクセントを矯正するアプリだ。米スタンフォード大学でMBAを取得したベトナム人学生がサンフランシスコで立ち上げたスタートアップ企業が開発したのが、Elsa Speakである。

AIが活躍する音声認識分野

AIが得意とするのが、音声認識である。Amazon AlexaやGoogleアシスタントに代表されるAIアシスタントは、ヒトの発話を言語に変換する機能をもつ。日本語では文字と発音は一対一対応するが、英語の場合には文字と発音とが対応するとは限らない。とはいえ、発話された英語を発音記号の文字列に変換すると考えれば、AIアシスタントと同様の仕組みで英語の発音を認識可能なことは容易に想像できるであろう。つまり、ネイティブスピーカーの話す英語を学習すれば、発話者の話す英語が正しい発音からどのくらい乖離しているか判別可能になる。

<関連記事>
日本のAI音声認識技術5選

アメリカ英語の発音矯正に役立つElsa Speak

Elsa Speakでは、多くの例文や単語、フレーズが用意されていて、ユーザの発音の正確さを判別してくれる。発音ごとに細かく判定するので、どの発音が発話者の弱点であるか一目瞭然である。

ただしElsa Speakは、アメリカ英語のみに対応している。イギリス英語とアメリカ英語とでは微妙に発音が異なるので、アメリカ英語の正しい発音に矯正したいという方にオススメのアプリだ。

Uber

シェアリングエコノミーの代表のひとつ「ライドシェア」

ここ10年で普及したシェアリングエコノミー。個人間でモノなどのシェアを意味するシェアリングエコノミーは、ピアツーピアやSNSで結びついたコミュニティ内での信用あるやり取りを前提としている。そのため、シェアリングエコノミーを実現するプラットフォームを提供しながらも、スマートフォンなどを活用した取引の仲介を行なうサービスが必要となる。

車を共有するライドシェアもまた、シェアリングエコノミーを実現するビジネスのひとつだ。タクシー業の免許をもたなくとも、ドライバーの車に乗り入れることを可能にする。

最適な経路をAIで求めるUber

Uberはライドシェアを実現するプラットフォームの実現と、取引の仲介役を担う企業だ。大都市では車の渋滞が社会問題となりうるが、Uberなどのライドシェアビジネスによって、車の交通が効率的に行われるようになる。

Uberでは、乗客がスマートフォンのアプリで現在地情報を利用して配車リクエストする。目的地を入力すると、ドライバーのスマートフォンの地図に反映される。支払い等はクレジットカードなどで自動的に行われるので、タクシーよりも効率的に業務が行える。

効率的な配車を実現するために、UberはAIを活用しているという。たとえばUberが提供する相乗りサービスウーバープールでは、どの乗客とどの乗客とを相乗りさせると、最適な経路になるのかを求める必要がある。また、正確な到着時間の予測も不可欠だ。これらの処理には時間がかかるため、AIによる処理が必要になる。

Uberが開発したGurafuにより、従来よりも高い経路予測が可能になった。これにより、サンフランシスコのような大都市でも、10秒程度でドライバーとのマッチングが可能になり、当初の到着予定時刻とほぼ変わらない時間に到着できるようになったという。

Hound

モノとモノとのつながりをより強固にするAIアシスタント

AIの普及は、IoTの普及と切っても切れない。スマートスピーカーに代表されるAIを活用した製品は、ほかのモノとインターネットなどで接続することで、活用の幅がさらに広がる。スマートスピーカーの場合、ネットワークで接続された照明や自動車などを音声だけでコントロールできる。そのため、わざわざ手動で操作を覚えることなく、効率よくモノを取り扱える。IoT製品の効率化を支えるのが、AIともいえよう。

スマートスピーカーの頭脳とも呼ぶべきAIアシスタントだが、AppleのSiriやAmazonのAlexa、Googleアシスタントなど、そのリリースは百花繚乱状態である。そのような状況に風穴を開けようとするのが、Houndである。

<関連記事>
Google音声アシスタントがひらく、新たなビジネスの可能性とは?(Google I/O 2018の発表より)

複雑な会話を認識できるHound

HoundがSiriのようなAIアシスタントと異なるのは、複雑な会話も理解できる点である。スマートスピーカーを利用した人なら気づくかもしれないが、「オッケー、Google。照明を暗くして」や「Alexa、音楽のボリュームを上げて」のように、単純な命令のみを取り扱うのが特徴だ。これに対しHoundでは、「大阪で24日から2泊、予算は2万円で、禁煙のホテルを探したい」といった複雑な要望でも、AIが解釈してくれるという。

またHoundが扱える範囲も、ほかのAIアシスタントと比較して多いのが強みだという。AIアシスタントという言語を理解するシステムがあっても、それで取り扱える製品が少ないのであれば、ユーザにとって不便である。Houndはライドシェア最大手のUberや、ホテルや旅行券などのオンライン予約で名高いエクスペディアなどと連携し、アプリの便利さを強調する。

Microsoft Pixカメラ

性能が高くなるスマートフォンのカメラ

近年スマートフォンに搭載されたカメラは、センサーサイズの小さいデジタルカメラと遜色ない機能をもつ。とはいえ、カメラで撮影された生の画像は色や形状等を補正する必要があり、自動補正で満足いかないプロのカメラマンなどは現像ソフトなどを使って手動で行なうこともある。

スマートフォンに搭載されたカメラもまた性能が高くなったとはいえ、補正する必要に迫られることもあるだろう。自動で行われる補正が気に入らないからといって、スマートフォンのユーザが手動で補正するのは難しい。

AIが自動補正するMicrosoft Pixカメラ

マイクロソフトが開発したMicrosoft Pix カメラは、AIを活用して写真を自動で補正するアプリだ。先述のように、マイクロソフトはAIを活用できるサービスを数多く抱えている。画像認識のサービスもまた、これらに含まれている。Microsoft Pixカメラは、MicrosoftのもつAI資源が遺憾なく発揮している。

Microsoft Pixカメラで撮影すると、逆光であるか順光であるかなどをAIが判断し、自動で補正してくれる。わざわざスマートフォンのユーザが、太陽の位置を意識しなくても、気軽に撮影できるのはうれしい限りだ。

またMicrosoft Pixカメラに、文字認識の機能が追加された。名刺をMicrosoft Pixカメラで撮影すると、名刺情報を連絡先アプリやビジネス用SNSであるLinkedInに反映されるという。

まとめ

以上、AIを活用した海外のアプリを紹介した。AIを単体で活用するというよりも、IoTを意識したアプリが目につく。Microsoft Cognitive Servicesのようなクラウドサービスを経由し、スマートフォンからAIを利用できるのも大きい。また、スマートフォンとほかのモノと接続し、AIが効率的な作業を支援する点も目を見張る。

AI(人工知能)-アプリ


<参考>

  1. 「Seeing AI」それは機械が人の目の代わりになる時代を予感させるアプリだ (Engadget)
    https://japanese.engadget.com/2018/05/22/seeing-ai/
  2. Seeing AI (Microsoft)
    https://www.microsoft.com/en-us/garage/wall-of-fame/seeing-ai/
  3. Everyday AI:主要製品への AI 導入状況を公開 (Microsoft)
    https://news.microsoft.com/ja-jp/2017/12/14/blog-171214-everyday-ai/
  4. ELSA Speakがスゴイ (English Skills 101)
    https://eig0.com/elsa-speak/
  5. Who we are (Elsa)
    https://www.elsaspeak.com/about
  6. ウーバーはどのように人工知能テクノロジーを活用しているのか (ビートラックス)
    https://blog.btrax.com/jp/uber-ai/
  7. 進化系音声アシスタント「Hound」はSiriとどう違う? (ケータイWatch)
    https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/interview/1004942.html
  8. Hound (SoundHound Inc.)
    https://soundhound.com/hound
  9. カメラアプリ Microsoft Pix の AI 機能がさらにスマートに: 撮影した名刺情報を iPhone や LinkedIn の連絡先に追加 (Microsoft)
    https://news.microsoft.com/ja-jp/2018/03/10/blog-microsoft-pix-ai/
  10. Cognitive Services And Artificial Intelligence: How Microsoft Pix Works (SoftWare Focus)
    http://softwarefocus.net/technology/cognitive-services-and-artificial-intelligence-how-microsoft-pix-works.html
  11. 無音カメラアプリの決定版! 「Microsoft Pix」を改めて使ってみる (ITmedia Mobile)
    http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1612/19/news122.html
  12. 『Microsoft Azure実践ガイド』(真壁徹、松井亮平、水谷広巳、横谷俊介 著)
  13. 『さわってわかるクラウドAI Microsoft Cognitive Services実践ガイド』(千賀大司、山本和貴、大澤文孝 著)
  14. 「みんなで創ろう! スマートハウス事例集(第16回)スマートハウスにおけるAI技術 : 住宅用窓シャッター「マドマスター・スマートタイプ」の活用事例」(オーム 2018年11月号)
  15. 「AI技術を利用したスマートハウスの未来 (特集 スマートハウスの最前線)」(計測と制御 2018年9月号)
  16. 『シェアリング・エコノミー』(宮﨑康二 著)
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